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7インチ盤専門店雑記306「ジョン・ポール・ジョーンズ」

レッド・ツェッペリンのベーシスト、ジョン・ポール・ジョーンズ、先日収録したラジオ番組で集中して聴いたもので、あらためて凄い人だなぁとなっております。レッド・ツェッペリン結成時点である程度実績も知名度もあるスタジオ・ミュージシャンだった人ですが、実績という点ではアレンジャーとかプロデューサーでしょうから、この人とバンドを組むというのは、演奏能力に加えて、その他のスタジオワークに関する能力も期待していたとは思います。

ジミー・ペイジやロバート・プラントは、古いブルースやロックンロールを現代的なハードロック・スタイルにリメイクする能力に長けていたとは思いますが、案外その辺の素養の鍵を握っていたのは、ジョン・ポール・ジョーンズだったのかもしれませんね。演奏能力も高いので見逃されがちでしょうが、パフォーマーとしての能力に加えて、クリエイターとしての能力が高いのでしょう。

結局その違いは、ジョン・ボーナムの突然の死によってもたらされた解散後の活動にも見えます。フロントマンの2人はそれぞれのバンドで活動したり、ペイジ/プラントで再結成的なことをやっていますけど、そこにジョン・ポール・ジョーンズの姿はないわけで、彼はかなり活動量を減らしながらも、先を見つめていたようです。まあ、ジョン・ポール・ジョーンズがプロデュースしたサントラ盤にジミー・ペイジが参加したりしてはいますけどね…。売れませんでしたね。

如何せん、グランジ~ドラムンベースのようなコぺ転的な音楽業界を取り巻く環境の変化にも、柔軟に対応していたのはジョン・ポール・ジョーンズの方なんですからね…。1999年の「Zooma」がリリースされた時、昔のツェッペリン臭を残しながらも、かなり新しい方向性を示していたので、ちょいと寂しい気持ちにもなりました。これで再結成はないという確信が持てましたしね。

どうしても映像を観てしまうので、アナログ・ボックスは未開封のままです

2007年、まさか、まさかの一夜限りの再結成「祭典の日」ライヴは、いろいろな意味で面白いものでした。ジミー・ペイジは昔の楽器を持ち出して、昔のままのスタイルでやっているのに、ジョン・ポール・ジョーンズの方は27年分アップデートしており、アクティヴ回路的な音色と奏法で昔とは違うんだ感を示しておりましたからね。親爺のジョン・ボーナムとは違うんだという細かさを見せていたジェイソン・ボーナムと相俟って、リズムの2人には大いに好感が持てました。普通のファンは逆でしょうけどね。

加えて、21世紀になってからの活動を見ても、面白いことをやっているのはこの人の方なんですよね。ゼム・クルックド・ヴァルチャーズとか、意外なほどよかったですしね…。

ラジオ番組でレッド・ツェッペリンの特集をしたことで、このバンドに対する印象や見え方が随分変わってしまったんですけど、もうニュー・アルバムとか期待できないんですかね…。


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