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さらまわしネタ帳036 - ジェレミー・スペンサー・バンド

「クール・ブリーズ」ジェレミー・スペンサー・バンド(1979)、これも結構好きな曲です。初期のフリートウッド・マックに在籍していたギタリスト、ジェレミー・スペンサーの脱退後の音源ですが、全然ブルースではありません。むしろ、ポップになってしまったフリートウッド・マックに近いような、AOR的な曲です。

まあ、ご本人が本当にやりたかったものかどうかは知りようもないのですが、どうも状況から察するにいやいやながらやらされた案件のようでもあります。そもそもジェレミー・スペンサー君、エルモア・ジェームス好きのブルース・ギタリストではないですか。フリートウッド・マックを脱退して、2枚ほどアルバムをリリースした後は、イタリアとかに移住して引退状態だったのに、1977年頃アーメット・アーティガン氏に無理やり引っ張り出されたようですからね。

アーメット・アーティガン、トルコ人ですからエフメト・エルテギュンさんなんでしょうけど、アトランティック・レコードの創始者で会長も務めた方ですね。お兄さんはネスヒ・アーティガン、アトランティック~ワーナーの役員さんです。お父さんはトルコの駐米大使だった方ですから、もう筋金入りのセレブリティですね。

アトランティックはレッド・ツェッペリンやCSNYのイメージも強いですが、ソウルやジャズに強いレーベルですよね。元々アーメット・アーティガンはブルースの作曲をやっていたような人ですから、黒人音楽に造詣が深いんですね。ジェレミー・スペンサー君、プレッシャーだったんじゃないかなぁ…。

この曲は1979年の「Flee」というアルバムに収録されているんですけど、ジェレミー君はフリートウッド・マック在籍時に相当プレッシャーだったのか、大分精神をやられてしまいまして、新興宗教に走ってしまいます。ソロ2枚目以降はChildren Of Godという宗教団体のメンバーとして制作しているんです。だから参加メンバーとか全然知らない人たちなんですけどね。ちょっといい感じの女性ヴォーカルもJeanne Hendricksという、全く知らない人です。

この曲、一応ビルボードのアダルト・コンテンポラリー・チャートの21位まで行ったということです。結果は出しているんですね。エルモア・ジェームス好きの自分としては、バリバリのブルース・アルバムを作って欲しかったなぁとか思いますけど、まあ、ピーター・グリーン御大もフリートウッド・マック脱退後はさほどパッとしませんでしたから、そこは望むべきじゃないんでしょうけどね。あの初期のフリートウッド・マックの輝きって何だったんだろ…。そいや、ミック・フリートウッドのソロにはいいブルース・アルバムがありますけどね。何だか皮肉なもんですよね…。


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