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7インチ盤専門店雑記170「デュアン・オールマン」

「デュアン・オールマン、何から聴けばいいですか?」という質問を以前いただいたことがありました。どうせオールマン・ブラザーズの初期とかデレク&ザ・ドミノスあたりの回答を期待しての質問かと思ってしまいます。その時に返した回答が「アンソロジーが出てますから、手に入ればですけど、あれはいいセレクションですよ」というものでした。もちろんここにはデレク&ザ・ドミノスの「いとしのレイラ」やオールマンの「ステイツボロ・ブルース」も入ってますからね。これを早めに作っておいてくれたカプリコーン・レコーズに感謝です。

しかもここにはウィルソン・ピケットの「ヘイ・ジュード」などの音楽史上重要音源がいくつも収録されているんです。クラレンス・カーターの「ロード・オブ・ラヴ」、アレサ・フランクリンの「ザ・ウェイト」、ボズ・スキャッグスの「ローン・ミー・ア・ダイム」といったあたりは、もう語り尽くされているようなものでしょうか。でも重要音源であることは永遠に変わりようがないでしょう。デラニー&ボニーもありますね…、凄いです。

自分の場合、かなり早い時期にこの盤を入手したものですから、この解説を読みながら「次はこれを買おう」などとやっていた時期もありました。初期オールマンズとも言うべきアワーグラスもここに収録されている「B.B.キング・メドレー」がお目当てで買いましたし、ボズ・スキャッグスのファーストも、ここで知ってなければずっと後回しになっていたでしょう。おかげで安く売られていた時に買うことができたんです。めちゃくちゃ重宝した盤でした。

でも最近は、個々の盤を探し出してきて針を下すより、この盤で聴けばいいじゃんとなってしまうことの方が多く、今は別の意味で重宝しております。要するにデュアン・オールマンの入門編にしてベストだと考えておるわけです。

状態のいいアナログレコードを入手するには、時間をかけて探すしかないと思っています。レコードとの出会いは一期一会です。2023年も相変わらずこんなことをやっていられるとしたら、私の人生はかなりラッキーな方でしょう。

一定の年齢になれば、周囲の人間の訃報ばかり聞かされる日々、決して楽しいものではありません。好きなアーティストもどんどん亡くなります。とても長生きするとは思えない自分自身の体調と相談して、動けるところまで動いて楽しくやるしかないのでしょう。あとはコロッと逝けることを願うばかりですね。まず訃報で知ることになったデュアン・オールマンのレコードを探し続けるというのも、なかなか考えさせられるものです。

ロクな年ではなかった2022年が終わろうとしています。2023年が少しでも明るくて楽しい年であることを願わずにはいられません。

よいお年をお迎えください。





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