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7インチ盤専門店雑記227「マウンテン・ミュージック」

マウンテン・ミュージック、カントリー・ミュージックの源流の一つと言えばよろしいでしょうか。歴史を紐解けばケンタッキー州は山が多いからそう呼ばれたということらしいですが、ロックから見た時にファー・サイドに位置するような、純粋なカントリー・ミュージックです。でも、カントリー&ウェスタンみたいに言うときの音楽とは違いますよね。確かにあらためて「マウンテン・ミュージックって何?どういうの?」と言われると上手く説明できませんね。

実際のところ、マウンテン・ミュージックのCD4枚組コンピなどというものも買って、随分聴きこんだ記憶があるのですが、現物がもう手元にないので、多分誰かにあげてしまったか何かなんでしょうけど、あのコンピレーションではルーツィ―なカントリー・ミュージックが満載でした。アコギとバンジョーの音色がこれでもかと鳴っていると思えば、コーラスはニュー・クリスティ・ミンストレルズ的な結構整ったものが多い気もします。自分が期待していたのは、ユル~いコーラスだったりするので、実はあまり満足できなかったコンピだったように思います。

結局、大平原のカントリーじゃなくて、山の中でやっていたようなイメージで捉えれば、案外核心をついているかもしれないので、まんま「山の音楽」でいいのかも知れませんね…。いい加減だな…。でもこの辺の芋蔓を手繰っていくと、ウッドストック界隈のコミュニティに辿り着いてしまうのも事実でして、MUD ACRES マッドエーカーズの2枚なんかまで行くと、ハッピー&アーティ・トラウムやら、マリア・マルダ―やら、ポール・バターフィールドやら、エリック・カズやら、ジョン・セバスチャンあたり(のルーツ)に行き着くわけですね。

この辺のコミュニティの中心にいたのは、ボブ・ディランやザ・バンドの連中ではなく、やはりハッピー・トラウムであり、アーティ・トラウムなんだという気がします。フォーキーかつスワンピーな連中とは、方向性が少し違いますからね。

ただどうしても侮れないというか、注意しないといけないのは、ヘッダー写真の「Hard Times In The Country」のアルバム・ジャケットなんぞ裏返すと、アレン・ギンズバーグのコメントが掲載されていたりするんです。やっぱりカウンター・カルチャーがどうのといった話になったとき、スルーはできない辺りなのではと思うんですよね。

こういうことを書くと若い人たちから嫌がられるかもしれませんが、サブスクだか配信だかで音楽を聴いていると見逃してしまいそうな人間関係が、アナログ盤のジャケットからは見てとれるわけなんですよ。…ホント、侮れないんだな、この辺。


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