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7インチ盤専門店雑記161「ブレークアウェイ」

ノーマン・シーフのジャケット写真が実に印象的なアート・ガーファンクルのセカンド・ソロ「ブレークアウェイ」です。何だか印象を変えるために使ったのかなという写真ですが、これはもう名作中の名作です。…写真のはなしです。ノーマン・シーフ、大好きなんです。ノーマン・シーフとヘルムート・ニュートンはジャケ買いしたくなるというやつです。

たとえば、こんなあたりのレコード・ジャケットも手掛けておりますが、かなり個性があると思うんですけどね、いかがでしょう。その中でもアート・ガーファンクルのジャケは特に好きな作品です。リッキー・リー・ジョーンズももちろんいいですね。

他にはジョニ・ミッチェルの「ヘジラ」、モントローズのファースト、ジェームス・テイラーの「ゴリラ」、カーリー・サイモンの「プレイング・ポッサム」あたりが有名でしょうか。面白いところでは、吉田美奈子さんの「レッツ・ドゥ・イット」なんかもノーマン・シーフの作品です。そう、全部人物写真でして、しかも写真から人柄やら気分やらが伝わってくるんです。空気感が伝わらない写真家さんはいないと思いますけど、この人の場合、プラス・アルファが伝わってくるんです。…何なんですかねぇ。また面白いことに、好きなアルバムが多いんです。不思議です。

「ブレイクアウェイ」は1975年リリースですが、まあ凄いメンツで録音されております。アンドリュー・ゴールドやニッキー・ホプキンス、ビル・ペイン等に加え、昨日触れたスティーヴ・クロッパーも弾いておりますな。シングル・カットされたタイトル・チューンは、ビル・ペインにスティーヴ・クロッパー、アコギにロン・ヴァン・イートン(ロン&デレク・ヴァン・イートンのロンです)、ドラムスはジム・ケルトナーにリック・シュロッサ―といったあたりに加え、バッキング・ヴォーカルが面白くて、グラハム・ナッシュ、デヴィッド・クロスビー、ブルース・ジョンストン、キャプテン&テニールのトニ・テニールといったメンツなんですね。

ポール・サイモンのソロとアート・ガーファンクルのソロ両方に同じ曲を収録するという、何とも言えないことをした「マイ・リトル・タウン」も入っておりまして、これはマッスル・ショールズ録音でしたからね。この盤に関しては、クレジット・オタクを喜ばせる要素が多めなんです。ハル・デイヴィッドとアルバート・ハモンドの手による「99Miles From L.A.」という曲にはシールズ&クロフツのルイ・シェルトンも参加しておりますしね。まあこの人、レッキング・クルー時代もありますからね。…若きリー・リトナーもクレジットされていますね。やはり面白いです。

強いて言えば、曲単位では完成度が高いものの、アルバムは寄せ集め的な匂いが出てしまっておりますけど、如何せん個々の曲がよすぎます。アルバム冒頭を飾る「アイ・ビリーヴ」はスティーヴィー・ワンダーのカヴァーですが、リリース当時は随分ラジオでもかかっておりました。「トーキング・ブック」のオリジナルもいいですけど、アート・ガーファンクルの声で聴くのも悪くないです。

こういうアルバムは、ラジオ番組の企画「芋蔓トーク」のネタには最適でして、ここを起点に番組が1つ2つ作れてしまいそうですね。…面白い、いやほんと面白い。




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