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八女 ゲストハウスでの子連れ一泊旅行

天空の茶屋敷さんはその名の通り景色が素晴らしかった

移住してきました、という記事を書いたっきり数か月経ってしまった。3月中旬に引っ越ししてから新年度が始まるまでの二週間、親も子も慣れない土地で子どもを朝から晩まで一時保育に預けながら開梱して身体も心もヘトヘトになっていた毎日のことを綴ろうと思っていたのに、そんな日々は一瞬にして過ぎ去り、新年度どころか季節がどんどん変わっていった。

これまでどうやって暮らしてきたっけ、と振り返っても、とにかく週末に外出しているなあという感じ。何年ここに住むかまだ分からないので、住んでいる間にいろいろなところに出かけたい、という気持ちももちろんあるけれど、福岡は皆が言う通りコンパクトシティで、どこに行くのも近い。だから「お出かけしよう!」と意気込まなくてもひょいっと旅行ができてしまう。
そんな感じで、東京に住んでいたときは旅行というと数か月前から計画を立てて、当日も高速道路が混まないかなあ、などとドキドキしながら出発するようなものだったのが、思いつきで出かけられるようになった。

と言っても、これは夫がいろいろと行き先を決めてくれることと運転してくれることに依るところが大きい。ガイドブックを隅から隅まで読み終えてもどこに行きたいか決められない私とは違って、夫は突然ここ!というところを決める。そんな印象的だった旅の記録。

星を見せてやりたい

2022年7月7日(木)は天気が悪かった。家でも七夕の絵本を読み、保育園でも先生たちが七夕の劇をやってくれたらしいが、星は全然見えなかった。9 日(土)、なんとなく早く起きたので家族みんなで早朝から近所を散歩し、お気に入りのパン屋でパンを買って公園で朝ごはんピクニックをしているうちにもう昼になった。午後はどうしようかと話していると、子どもに星を見せてやりたいと夫が言い出し、そのまま旅行に出かけることになった。行きたいんなら早く決めてくれたら朝から支度したのに!そうしたら現地でたくさん時間を使えるのに!と欲深い私は思ってしまうが、こんなふうに突然決まっても楽しい旅行になる、ということを夫との生活の中で確信するようになってきたのでこの船に乗ることにした。なんやかんやで夫は宿と車を予約し、夕方家を出た。向かった先は八女市黒木町。星が綺麗なところ、で検索したらしい。

到着したのは日没寸前で、虫の声がして、ほどなくしてあたりは真っ暗になった

やってきたのは八女の天空の茶屋敷というところ。福岡市内から車で一時間半くらい。最後はだいぶ山道で、どこへたどり着くんだろうと思ったけれど、着いた場所の見晴らしがとても素晴らしくて茶畑と田んぼの緑が美しかった。ゲストハウスというのもわくわくした。子どもが生まれる前は、国内でも海外でも旅行に行くときはいつもゲストハウスのドミトリーに泊まったものだ。なかなかシャワーが空かないとか荷物が盗られるかもしれないとか気を張ることがあっても、そこでいろんな人と会えるのが楽しみだった。

六畳の部屋が二間続きの個室

ゲストハウスならではの出会い

4歳と2歳がいてドミトリーの勇気はなかったので個室に泊まったが、ゲストハウスならではの素敵な出会いがあった。夜ごはんを途中で済ませて宿に向かったのでもう寝るだけという状態で行ったけれど、私たちが到着するとその日宿泊予定の人たちが出迎えてくれて、夜はスイカを割って、焚き火を囲みながら何でもない話をした。一人はオートバイで日本一周中のお兄さんだった。このお兄さんのオートバイのナンバープレートが東京で私たちが住んでいた場所の隣町のものだったので嬉しくなって話しかけて、そこからいろいろと旅の話を聞いた。あとは長期滞在のお姉さんがふたり。

お姉さんが持ってきてくれた「またいちの塩」が美味しいと長女
トランポリンに寝っ転がって焚き火を眺める

4歳7か月の長女は、焚き火の炎が何に見える、というような話を宿泊客のお姉さんとずっとしていた。放っておいてもだれかとコミュニケーションを取ることができるんだ、と思うと頼もしくもあったし、私自身も子どもにつきっきりでなくてよくて程よい解放感もあった。旅先なのに、他人に気を遣うどころか気持ちが楽になっている。豪華な懐石料理付きの至れり尽くせりの宿ではないのに、こんなに楽しい。残念ながらこの日も曇りで星は見えなかったが、日本横断中のお兄さんがつい先日沖縄で撮ったという天の川の写真で一同お腹いっぱいになった。

すべてが一期一会

翌朝は宿の方が羽釜でごはんを炊いてくれた。宿の脇に鶏小屋があって、卵を産んだらそれを食べてもいい、ということだったがその朝は産まなかったので数日前に産んだ卵をいただいて卵かけご飯にさせていただいた。羽釜ごはんはその日の火加減水加減によってどうしても味が変わるんです、今日はちょっと硬めです、と宿の方はおっしゃったけれど、そういうのも全部一期一会だなあと思った。

羽釜のある共有キッチン

前の晩到着したのが夕方ですぐに日が暮れてしまったので、翌朝近所を散歩してみずみずしい緑の景色を目に焼き付けて帰途についた。途中で八女市内を少し観光して、こじゃれた雑貨屋などを巡ったけれど、今思い返しても頭に浮かぶのは買ったものより宿での出会いと時間。夕方に出発して翌日の夕方に戻ってきた、ほんの24時間の旅だったけれど、とても豊かな時間だった。

宿の周りは茶畑。翌朝、近くの滝を見にパジャマのままぶらぶら
大広間と縁側も子どもたちには見慣れない景色だったよう

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