見出し画像

COVID-19と我が家への影響(8):自己隔離生活終了

4月16日(木):実家に移動

この日は産院で妊婦健診だった。公共交通機関を利用するのは避けたかったので母に車で迎えに来てもらって産院まで連れて行ってもらおうと思っていたが、産院は実家のすぐ近くなので診察後またアパートに送り届けてもらうのも母に頼みづらいし、私たち夫婦はお互い1か月以上在宅勤務で家族以外との接触はほぼ無いし、東京からの移動はどこも驚くほど空いていたし、おそらく私たちが罹患していることは無いだろう、と判断してそのまま実家に戻ることにした。

夫は、義実家ではデスクやチェア含め仕事をする環境が整っているかどうか分からないということで、ひとまずアパートの契約が終わるまではアパートに残るとのことだった。ひとり残すと外食したり出歩いたりしやしないか、と不安だったが、もう産休モードの私と違って仕事も通常通りしなければならない夫がそういうのだからと思って夫を残して出ることにした。

ということで、14日間予定していた自己隔離生活には10日で終止符を打った。

***

この日の前夜、アパート近くにあったパティスリーで夫がケーキを買ってきてくれて一緒に食べた。ここで生活をし始めた直後に見つけて、何度か店の前を通り過ぎながら、なんとなく「明日、また明日」と思いながら毎日を生きる糧にしてきた。隔離生活中に結婚記念日を迎えたのと、もうすぐこのアパートを出るということでなんとなく夫婦の気持ちが合ってケーキを買うことになった。2歳の娘にはまだ早いと思ってコンビニで買ったクロワッサンを皿に置き、「まめちゃんにはクロワッサンケーキよ」と教えたのがちょっと申し訳なかったが。

あと何日、あと何日、とこんなにも毎日早く過ぎてくれと願うような生活は初めて経験した。知らない土地で、狭くて、不便で、娘にろくに食事を作れないストレスが毎日あって、親には理解してもらえなくて、大きなお腹がしんどくてつらいこんな生活はもう二度と経験したくはない。それでも私たちは仕事も失っていないし、それどころか夫婦ともにすぐに在宅勤務をさせてもらえる会社に勤めていて、思い立った直後に移動できた。保育園を休んだ分は子どもを見るために有給休暇を取得することになったが、有給休暇なのだから給与が減るわけではない。この大きな決断を下すために夫とふたりで考え、話し合い、一緒に乗り越えたという達成感のようなものもあった。そしてなにより、大切な夫と娘が私のそばで元気に生きている。自分たちがどれだけ恵まれているかを噛み締めて感慨深い気持ちになった。

***

母が迎えに来るまで、この10日間毎日のように通ったアパート前の公園に散歩に出た。毎日どうやって娘を遊ばせればと思って半ば嫌々来ていたけれど、もう来ることもないと思うと不思議と愛着が湧いてくるものだ。

とりあえず無事に過ごせた10日間に感謝して、自己隔離生活のアパートを出た。振り返ってみると、夫が帰省当日の空港で言ったように、旅行のような日々だった。

この記事が参加している募集

育児日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?