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「MZDAOコミュニティに思う」no.3

 食品ロス削減と生活困窮者支援を両立させる取り組み、コミュニティフリッジとフードドライブの活動に関する記事が、日本経済新聞2022年11月14日付夕刊(田辺アリンソヴグラン記)に掲載された。読まれた方も多いと思うので、記事の詳細な要約は要らないと思う。学ぶべきことが多い貴重な記事なので、興味ある方で見落とされた方は、遡って目を通されたい。一般に、フードロス削減のソリューション・アクションプランについて、様々な議論と社会的活動が絡み合いながら行われてきた。この問題を考える上で重要な記事なので、私見も交えながら紹介し学んでいきたい。まず、フードドライブ、次に、2010年代に欧州で始まったコミュニティフリッジの日本版。
 フードドライブとは、次のように定義される。「一般家庭で余った未利用の食料品を公的施設や店舗に持ち寄り、まとめて地域の福祉団体や子ども食堂などに寄付する」こと(上記記事)。店舗については、回収ボックスを設けたコンビニ店やスーパーが利用される。東京都品川区の10月下旬の取り組みが紹介されている。区内3施設でフードドライブが実施され、収集された食料品などを子ども食堂に寄付した。すでに今年に入り、3回試みられているとのこと。これは、行政が主導して寄付を集めそれをボラティア団体に引き渡す活動という特徴をもっている。こども食堂などのボランティア団体は一つのコミュニティである。フードロス削減と生活支援の両立がコミュニティを基礎に行われている。しかし、これらはビジネスではない。
 次に、コミユニティフリッジである。この訳語は、「公共冷蔵庫」であるから、ここでいうコミュニティはパブリックと同意であろう。このフリッジの利用者は、フリッジの運営団体に事前に登録してパスワードを取得しスマートホン・アプリで電子ロックを解除して利用する。運営団体と利用者はこのような関係にあるが、利用者間の繋がりはむしろ回避されるので、コミュニティというよりは、セキュリティを担保するための技術的な会員制とでも言うべきではないだろうか。全栄物産は、展開するスーパー「ゼンエー」の敷地内(埼玉県草加市)で、このようなコミュニティフリッジを運営する。施設そのものは、草加商工会議所が設置した。公共団体と民間企業が相互に共同して活動を展開する。利用対象世帯の資格要件は、児童手当や就学援助を受給していることで、その給付証明書が必要である。10月25日時点で、330人を超えて登録。20~40代の女性が9割。
 開設のさきがけは、一般社団法人「北長瀬エリアマネジメント」(岡山市)
 商業施設の敷地内で運営されているのは、次のコミュニティフリッジである。堺市の泉北、岡山市の北長瀬、山口県防府市の防府、各コミュニティフリッジ。特に面白いのは、泉北コミュニティフリッジのカフェ併設である。
 これまで紹介してきた取り組みの問題点は、第一に安全性、である。第二に収集余剰商品に偏りがあるということ、第三に生活困窮者支援などの目的を共有することができるかどうか、である。この中で、最も根底的な問題は,
目的の共有である。その意味で、利用者の登録制だけではコミュニティにはならないであろう。また、ビジネスとしてこの事業を展開するためには、単に集客に有利であるとか企業イメージのSDGs化だけでは、無理があるだろう。MZDAOでは、コミユニティを基盤として事業を展開する組織であり、仮想空間でのビジネス展開が想定されている。上記の二つの活動は、いずれも、リアル施設が想定されている。メタバースとまではいかなくても、少なくともスーパーはネットスーパーである。したがって、利用者は登録して自由に取りに行くということはできない。物流経費がかかり、それを誰が負担するのかという問題も生じる。コミュニティには富裕層も中間層も貧困層もいる。こうした問題をどのように解決するのか。フードロスを削減しコミュニティ内利用に繋げる「デジタル循環型コミュニティ」(筆者の造語)の創設の構想が練られなければならないであろう。このコミュニティはDAOとまったく矛盾しない。DAOはコミュニティ内の余剰と不足を解消するテクノロジーと組織を提供すると考えられる。ビジネス化するためにはこの徹底した具体化が必須である。そのためには、コミュニティ内のデジタルコインが必要となるかもしれない。デジタルコインは取引記録の機能を果たす。

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