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古典占星術のハウスと惑星の関係は歴史を知ってるとわかりやすいかも②

古典占星術のハウスと惑星の関係は歴史を知ってるとわかりやすいかも?という記事です。

1ハウス~6ハウスはこちらから。


現代占星術では、12ハウスの意味は12星座と対応しています。
一方、古典占星術ではカルディアンオーダー⁽※1⁾に則り、1ハウス土星から始まり、木星、火星、太陽…と振り分けられています。
また「ジョイ」と呼ばれる、天体が共通の性質を持つハウスに位置することで、居心地が良い関係性を指す状態などもあります。


※1 カルディアンオーダー
七つの惑星を軌道が大きい(速度が遅い)順に並べたもの。
土星→木星→火星→太陽→金星→水星→月の順で地球に作用すると考えられている


※歴オタの個人の意見が多く含まれます。参考程度に見てください。


◆7ハウス 和歌、派閥争い、約束とは心のつながり



古典占星術では7ハウスは自分以外の大多数、他者を表すハウス。
ルーラーは月、ジョイはありません。


ルーラー月:他者は自分の鏡、約束とは心のつながり



7ハウスを歴史で例えるなら派閥争いが一番わかりやすいかもしれません。
関ヶ原合戦直前、豊臣政権は徳川家康派と毛利輝元(石田三成派)に二分しました。

朝鮮出兵の際の論功行賞や徳川家康の婚姻戦略なども大きく左右していますが、各武将の根底にあったのは「生き残りたい」「美味しい思いがしたい」「家を存続させたい」「この人のことは信じられる」「この人はきらい」「信じられない」といった気持ちだと思います。



7ハウスは他者と交わす約束事も意味していますが、そもそも約束というのもお互いが心のつながりを求めたり、信じていないと結べるものではありません。
一方が求めたとしてももう一方が拒めば、約束は成立しないものですからね。


誰と一緒に居たいのか、居たくないか。
どんな人が周りに居るのか、どんな環境を選択したのか。

選び取る際の一番最初で根底にあるのは月の安心したい欲求、快不快を感じる感覚ではないでしょうか。


また、月が色んな形に変化するように、気持ちというものは移りゆくものです。

誰もが幼なじみと30年来の付き合いをしているわけではないですよね。
そして一度繋がった関係は長続きさせるべきだ!という義務みたいなものもありません。

高校生時代の友達より、2週間前に知り合った仕事仲間との方が本音で付き合えるなんてこともザラにあります。
そして心を向けるものには遠い過去の誰かの言葉や、未来への可能性も含まれると思います。

7ハウスと正反対の位置にある1ハウスを支配するのは土星です。
土星は自分とその他に境界線を引くことで生命維持を図ります。
しかし、7ハウスを支配する月の安心や心を向けるものには、土星のようなある種のボーダーラインは存在しません。

それは枕草子や源氏物語などの何千年も前の人の思いや言葉がが未だに現代の私たちの心を感動させるものと似ています。




◆8ハウス 相続、家督争い



8ハウスは土星が支配するハウス。死や喪失を表し、古典占星術のハウスの中でも特にネガティブな意味合いが強いハウスです。
ルーラーは土星、ジョイの天体はありません。


ルーラー土星:他者の財をどう扱うか互いにはっきりさせる



7ハウスから見ると2ハウスになる位置のため、他人の所有物=遺産、相続なども表します。

歴史上の出来事を見ても、そして今でも遺産や相続をめぐってあらゆる争いが起こっています。
その多くは相続するのは長男or長子、争いの図式は長男or長子VSその他というケース。

分かりやすいものだと「応仁の乱」や「御館の乱」などがあります。


一見、家督というものはただのステータスです。
しかし「領土、家臣をどう扱うか」「前任者の意志や願望をどこまで引き継ぐか」という、自分の意志だけではどうにもならないことも含まれています。

財産の譲渡が行われる時はおのずと人の生死や何かしらの終末が関わってくるもの。
それらをうまく扱うには誰が、いつ、どこで、どこまでに、どのように扱うかといった、現実的で客観的なデータと明確なルールが必要となります。

8ハウスの支配星が土星であることを考えると腑に落ちやすいなあと思います。

8ハウスがなぜ死や相続と関連するかはぐらさんのこちらnote記事がとても分かりやすいです!




◆9ハウス 信仰の証明と異国への宣教




古典占星術では9ハウスは宗教や学問、旅行、出版を意味します。
ルーラーは木星、ジョイは太陽です。


ルーラー木星:きっと神は居る/きっと神の教えは異郷でも伝わる



宗教と聞くと「神を崇めよ!」「教祖はわたしだ!」みたいなちょっとカルト的な雰囲気をイメージしやすいかもしれません。

それとは少し違うということを念頭に置きつつ、世界三大宗教を参考に9ハウスの象徴する宗教を紐解いていく必要があります。

9ハウスが象徴するものは一見バラバラにも見えますが、宗教を軸に考えていくとすべてつながっていくからです。

宗教には大きく分けて信仰・宣教という二つのカテゴリがあります。

根強い信仰にはその宗教を形成する誰もが納得いく道理のようなものが必要です。

それらを紐解き、「俺たちの信じる神こそが正しいのだ!」と神の存在を証明するため、一つ一つの言葉や教典の一挙手一投足に意味付けが施されていきます。それらはやがて哲学、美術、科学、心理学といった学問につながっていきます。


また、どの宗教も信仰とともに宣教・伝道活動がセットになります。

「西遊記」で有名な三蔵法師は仏教の聖典・原典を求めてインドを周遊しました。
鑑真は正しい仏教を日本に広めるため、盲目になってでも唐から渡ってきました。
また、フランシスコ・ザビエルに代表されるイエズス会は日本だけでなくインド、中国といったアジア圏での宣教に力を入れたことで知られています。


海を渡ってでも伝えたい教えがあり、それが異郷の地であったとしてもきっと信じてもらえるだろうという楽観さは9ハウスの支配星が木星であることと関連しています。

出版についても、宗教史と大きく関連しています。
宗教改革以前は、聖書は修道士のみが内容を理解できるものでした。しかし、活版印刷の発展により、宗教改革を主導したルターの論文がきっかけで聖書の内容が一般大衆にも広まったという経緯があります。
ちなみに日本にも活版印刷の技術が伝来し、「キリシタン版」と呼ばれる印刷物の数々が流通していました。


ジョイ:太陽 天道思想としての太陽



9ハウスに太陽が来るのは季節や場所によっても変わりますが大体12~14時の時間帯です。
この時間帯は1日の間で最も気温が高くなりやすい時間帯であり、9ハウスで太陽がジョイになるというのも関連深いところです。

また、世界にはあらゆる地域で太陽が信仰・崇拝の対象とされています。(日本では天照大神、ギリシャ神話ではアポロンなど)

日本では古代中国から伝来した「天道思想」が日本の神仏宗教や儒学にも影響を及ぼしたと言われています。
現代でも「お天道様が見ている」という言葉がありますね。「お天道様」はそのまま太陽を表すこともあれば、信仰対象としての意味合いもあります。



◆10ハウス 一番槍、功名を上げる場所



古典占星術では10ハウスは社会的な地位、名誉を表します。
ルーラーは火星、ジョイはありません。

ルーラー火星:先陣を切り武勲を掲げる場所



10ハウスはホロスコープの天頂を示し、10ハウスのカスプがMCです。
MCはアセンダントとともにホロスコープの重要な箇所であり、社会での到達点や肩書なども表します。


歴史で例えるならば、立身出世を目指していく場所であり、合戦の際に「自分はこれだけ成果を上げましたよ!」とアピールするような場所です。

特に戦国時代では一番槍を上げたというだけで自らの武勲を知らしめ、高めるだけでなく、それに応じた恩賞を得られる場所でした。


天草四郎らによる島原・天草一揆(島原天草の乱)では、乱の後に幕府側のどの家が一番槍を遂げたかでさまざまな噂が流れました。
それについて不満を述べたり、わが家が一番乗りを遂げたのだ!と説明する…なんていうエピソードも残っています。


歴史とは少し離れますが、現代だとサバイバルオーディションなどがまさしく10ハウスの象徴かもしれません。

10ハウスは今持っている肩書を、自分の力を主張し、力で切り拓き挑戦していくことが求められます。
今持っている肩書を維持するために・または獲得していくためには火星のような闘争心が必要です。

傷つけ、傷つけられてもかまわない、それによって功名を上げるのだ!と決断を迫られるハウスかもしれません。





◆11ハウス 自らの誇りによって希望を拡大させる



古典占星術では11ハウスは社会的な地位、名誉を表します。
ルーラーは火星、ジョイはありません。




ルーラー:太陽 自らの誇りによって希望を作り上げていく


11ハウスは同じ太陽が支配する4ハウスから見ると8ハウス(遺産・相続)にあたります。
4ハウスは居場所や自分たちの土地を表します。そのため、11ハウスは4ハウスから見た他者の懐、他者のエリアとも言えるかもしれません。

日本では、19世紀の終わりから20世紀初頭にかけて、ハワイやブラジルへ海外移住する者が増えました。


日本から遠く離れた場所で、その土地の文化や慣習に適応することはもちろん大切なことです。

しかし、自分や同郷の仲間たちの血に連綿と流れる歴史や価値観はなかなか変わるものではありません。
また、他所の土地でトラブルなく過ごすためには、ある種の「自立性」のようなものも求められます。

背筋を伸ばして礼儀正しくあること、真面目であること。
挑戦心を忘れないこと、勤勉であることなど。

人によってさまざまですが、「カッコ悪い所は見せられない」という太陽の象徴する誇りを意識しやすい場所でもあります。

歴史の背景と紐づけていくと、11ハウスは他所の土地でも自らのアイデンティティを活かし、誇りを忘れずにいることが求められる場所かもしれません。


ジョイ:木星 自分の道徳性、精神性を高めていく


11ハウスで木星がジョイになる理由の一つとして、先ほど書いた「他所の土地でも自らのアイデンティティを活かし、誇りを忘れずにいること」によって得られる収穫に木星的な要素がある、と私は考えています。


例えば、他人(同郷・異郷を問わず)からの援助や信頼、志を同じくする仲間とのつながりなどですね。
それによって得られる富、希望などが当てはまるかと思います。

歴史で例えるとするならば、天正少年使節・慶長遣欧使節や平塚らいてうにより発足された新日本婦人の会などでしょうか。


10ハウスのように勝ち負けを重視するのではなく、今持っている手札を活かし、信頼や希望でつながる場所が11ハウスだと思います。




◆12ハウス 自分が作り出した厄介ごとに秩序を与える


古典占星術では12ハウスは自堕落、隔離、厄介事を表します。
ルーラーは金星、ジョイは土星です。


ルーラー:金星 自堕落さ、自ら作った厄介ごと


12ハウスは同じ金星が支配する5ハウスから見ると8ハウスの位置です。
自らが作った喜びや楽しみは人生を彩ってくれるものですが、そればかりに浸っているだけでは生活は成り立たず、破滅を巻き起こすことだってあります。

平安時代、都の貴族たちは律令制度によって贅沢な暮らしをしていました。
光源氏のモデルと言われる藤原道長は糖尿病により亡くなったことが知られています。
飽食傾向にある現代では多くの人がかかる生活習慣病の一つですが、平安時代に糖尿病になる…と考えると相当恵まれた環境にあったと考えられます。


また、「とりばみ」と呼ばれる宴の後、食べ残した沢山の料理を庶民に投げ与えるといったことも行われていたようです。


他の分かりやすい例でいうと2024年大河ドラマ『光る君へ』の第25回「決意」があります。
フィクションとはいえ、一条天皇が宮中に戻ってきた定子を愛しむあまり政が疎かになり、結果として賀茂川が氾濫し多くの民や田畑が奪われる…という展開は、12ハウスの支配星が金星であることとよく重なります。

自分にとっての喜びや楽しみばかりに耽溺した結果、最終的に自分ではどうしようもなく変えることも難しくなったものが12ハウスの象徴だと考えられます。



ジョイ:土星 アジール機能、駆け込み寺



自分の厄介ごとが積み重なり、もうどうしようもない…となった場合、ずっと放置するよりも早々に制限をかけてしまったほうが得策です。

とはいえ、6ハウスのように周りの情報をくみ取って現実的に処理する必要性はありません。
6ハウスとは違い、12ハウスは金星が支配しているため自分の喜びや楽しみ優先で、制限や秩序立てる方法についてはこだわらない…という性質があるのではないかと思います。


その例としては、駆け込み寺やアジール機能があります。

アジールとは社会的な避難所としての特権を保証された場所です。
世間の権力から独立しており、一般的には寺院がアジールの場所とされていました。アジールに駆け込めば、いかなる犯罪者でも権力の追及から逃れられるという特徴があります。
今でいう駆け込み寺のようなものですね。


駆け込めば自分が引き起こした厄介ごとから距離を置くことはできますが、自分の裁量ですべての物事を判断できるわけでもなく、あらゆることに制限が付きまといます。

一般的な社会や集団と距離を置くことになったり、敵とみなされ排斥の対象になることだってあるでしょう。

形としてはいびつですが、厳粛な秩序やルールを求めずに制限をかけることで救われる状況や物事を表していると思います。



以上、古典占星術のハウスと惑星の関係は歴史を知ってるとわかりやすいかも?という記事でした。
参考になればとっても嬉しいです!

ほなまた。
















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