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平穏な日々は続かない

前回からつづき

人生は生き方なんだ

大学を卒業して初めての就職。
間も無く、できちゃった婚結。
こうして思えば、実に平穏な日々、幸せな日常だったのです。

そして友人の誘いで会社を辞めて起業した、、、
でも直ぐに、つまらない揉め事で勝手に手を引いた、、、
友人からの起業の誘いを“悪魔の囁き”とか“人生一か八か”とか、、、
半ばスリルを求める様に誘いのったわけですが、けれどもそれは全然違った。

彼らは真剣に人生をかけて取り組んでいたのだ。
地道に努力を重ね、諦めず、そうして大きな成功を掴んだ。

“悪魔の囁き”“人生一か八か” 
そんな下衆の勘ぐりで僕は大きなチャンスを逃したわけです。

では小さな美容関連の会社に転職した時はどうだったのだろう、、、。
仕事に将来性とか、魅力とか、、、真っ当な理由を覚えたのだろうか?
それとも妻が乗り気だったからなのだろうか?
違う、ただ年収¥1200超の高待遇に絆されただけだった。
高級車に乗れる事に絆されただけだった。

とにかく、僕は生き方が悪い。
ずっと生き方が悪かった、、、“心身ボロボロ”になって気付いたことです。

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今度こそ本当の悪魔の囁き


化粧品製造メーカーの社長A氏。
温厚で実に真面目で誠実そうなお人柄。
実はとんでもない狸。
それはずっと後に知ることになるのです、、、。

社長と僕とA氏と、初めての打ち合わせ。
当時をよく思い出してみると、大事なリニューアルの話よりも
K氏に支払うロイヤリティーから如何にしたら逃れられるか、、、
そんな話ばかりが思い出される、、、。

A氏曰く。
あくまでも商品の認可を申請するのは弊社となる。
薬事法改訂のタイミングで、どうせリニューアルするのであれば今の処方に
何らかの改善を加えるのだから、以前の商品内容とは別物になる。
A氏の理屈で言うなら、開発者は弊社となる、、、
そもそも今の商品だって僕が処方を考えてるのですからね、、、と。

これならK氏にロイヤリティーを支払う必要はなくなるのでは?
A氏の提案でした。
それが出来ないのであれば、旧商品はそのまま販売を継続しておいて、
御社はリニューアル商品を全面的に売り込めば早々に入れ替わっていく。
ロイヤリティーは自然に減っていきますよ

A氏は様々な意図を持って、そう仕向けるように社長を煽ったのです。

結果的に意図的なK氏外し。
だけれども、この話は至極まっとうな考え方だと私は思いました。
薬事法改訂からしてもリニューアルは必須、であるならばこれも仕方ないと。
わざわざ新たな商品にもロイヤリティーを負うことは道義的にもないはずと。

それでも社長は躊躇していたのです。
納得してはいるもののK氏への異常な恐怖心というか何というか、この話の意図が
直ぐにK氏にバレてもっと大変になる、、、
そんな感じで歯切れが悪かったのでした。

何れにしてもリニューアルの準備に取り掛かる事が必要になったのです。

ロイヤリティーの話は後回しで、新たな商品は全面的にA氏に任せる事になり、
僕らは付随する様々な準備に取り掛かる事になったのです。
リニューアルまでの猶予は2年程度だったと思います、、、

そうしてのんびりした日々が大忙しの日々に一変したのです。

僕にとっては商品作りに関わるのは初めての事。
やる事がたくさんあり過ぎて、しかも全てが未経験の事だったため大変だったのを憶えていますが、でもその分、日々充足感で満たされていた事も憶えています。

それからすぐの事でしたか、“今後のスケジュールの打ち合わせ”という理由で
A氏から食事に誘われたのです、、、僕だけでした。

銀座の高級割烹。
初めて接待を受ける側になったのです。

その場でどんな話をしたのか、リニューアルの事や今後のスケジュールの事を打ち合わせたかどうかも憶えていません。

2件目、、、
そうして向かったのが銀座のクラブです。
僕にとって何とも場違いな初めての世界だったわけです。
そういえば、天井にすごいシャンデリアがありました。
A氏のご贔屓のクラブだったのです。
綺麗な和服姿のいわゆる“銀座のクラブのママ”とも親しく接していました。
僕の両隣には綺麗なドレスを纏った綺麗な女性が座りました。
僕は完全にテンパったのです。

そしてその日を境にA氏から頻繁に僕の携帯電話に連絡が来るようになりました。“明日、どうですか?”、、、こんな風にです。

懐柔が目的だった⁈

表現は少し違うのかもしれませんが、でも結局は”懐柔”が目的だったのだと後々気付くことになるのです。

接待でのA氏は四方山話に花を咲かせるのが上手でした。
その場を盛り上げるのがすごく上手な方でした。
私も回数を重ねるごとに“銀座”に慣れていきました。
段々と、いわゆる同伴やアフターにもお付き合いするようになり、いつしか
贔屓の女の子ができ、そして一人でも通うようになっていきました。
もちろん会社の経費です。
ある時の領収書、10万円を超えていたのを憶えています、、、ゾッとします。
こうして僕とA氏は、互いのアリバイ工作をするようなズブズブな関係になっていったのです。

悪魔の囁き、、、悪き行く末

“実は近く、独立するんです”

いつも仕事の話はしないA氏ですが、その日の銀座では初めから様子が違っていたのです。

A氏
〜実は近く独立するんです。
新たに工場を持つわけではなく今のままで変わりは無いのですが、僕が取り付けたお客さまで、ご了承いただけたお客様だけ新会社のお客様として今後お取引をさせていただく、、、。
それで是非御社のリニューアル商品を新会社で扱わせてほしいのです、、、。

A氏

唐突な話でした。
A氏は社長より先に僕に根回しをしたわけです。
浅はかにも、当時の僕にはこれが何を意味するのか?
その先にどんな影響を及ぼす可能性があるのか?
全く理解できていなかったわけです。

僕は、具体的になんて答えたかは憶えていません。
でも調子のいい返事をしたんだと思います。

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しかしこの時、うちの社長は大きな問題を抱え始めていたのでした。

続く


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