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日本医療のポテンシャル「医学教育教材」

この度1月に、私の属しているNPO法人のTICOから、JICA草の根技術協力事業ということで、カンボジアに行ってきました。

カンボジアの病院で視察して、そしてカンボジアの医療者に初期救急対応のトレーニングをしてきました。

前回この番組で、海外に出てみてよく分かった日本医療のPotential潜在力の話をしました。
その第一弾として、医療機関皆保険制度(全ての医療機関が1つの公的保険制度の中で医療を行っている)を出させてもらいました。

第2弾として挙げたいのが「医学教育コンテンツの充実」です。

海外に行って改めて、日本の医学教育、医療教育の教材の出来はやっぱり素晴らしいと思いました。

2つほど例を挙げたいと思います。


1つは人工呼吸器の使用方法です。カンボジアに行った時に、CPA2という、カンボジア公立病院の中クラスの病院を指す用語、病床50ぐらいで簡単な手術ができるという病院を視察させていただいたのですが、そこの集中治療室に人工呼吸器が3台並んでいました。しかしながら、全く使われている形跡がありません。

コロナ禍の中で、これが寄贈されてきたらしいのですが、全く使えてないままあると聞きました。

なぜ使えてないか?使い方知ってる人がいないからっていうのです。

これは、日本だと、ありえない話です。

日本だと、人工呼吸の使い方については、医師でも看護師でも、習熟できる仕組みっていうのがあります。

それを可能にしているのが

豊かな医学教育教材だと思います。


例えば、アマゾンで検索すると

看護師用の人工呼吸器使用方法の解説の本っていうのが多数出てきます。

どれも、非常に画像がたくさんあって分かりやすい。少し手ほどきがあると十分理解できるという内容を持った、教材があります。

こういった教材があることによって、日本は、看護師等のレベルが高いと思いますし、専門的な知識を持っている看護師っていうのが出てくるという素地があります。


もう1つの例は心電図です。

現地に行ってトレーニングしていたのですが、皆心電図をあまり読もうとしません。

内科医師であっても読めない人が多いので、「皆さん、心電図はあんまり見たことないですか」と質問すると、循環器のドクターじゃないから、見ないという答えが返ってきました。


翻って、日本であれば、心筋梗塞の心電図、房室ブロックの心電図等一般医であってもかなり理解できると思います。

それがなぜ可能かというと、やはり、これも日本には豊富な教材があります。


循環器、心電図といったキーワードで、

非専門医あるいは一般医、つまり循環器とか心電図を専門にしている医師以外でも、わかりやすいように書いてくれてる、専門家が手ほどきしてくれてる教科書、教材っていうのが豊富にあるわけです。これが、日本の医療、一般医が、心電図等を理解できる、心臓の専門家じゃなくてもある程度の治療ができるっていうことを可能にしています。


こういった豊富な教材を作る力が日本にはある。

このことを大事にしたいと思います。


正直なところこれから、物資の提供といった支援の仕方では、中国に負けると思います。

先ほど使われていない人工呼吸器の話をしましたが、中国の寄贈です。

こういったモノを送るっていうことで対抗しようとしても、日本はどんどん、負けてしまうと思います。

これからは、日本の豊富な医学教育、教育コンテンツを輸出したり、現地のトレーニングに行ったり、日本に招聘してトレーニングするといった形で貢献していくということが大事です。


中国から人工呼吸器のような機械を寄贈してもらったけれども、全然使い方わからない。使い方教わらないままで眠ってる、というところに日本が行って、

使用方法を教えて、実際の臨床で使えるようにするといったような国際貢献の仕方が、今後求められてると思いますし、それを今後の強みにするべきだと考えています。

そして、昨今のデジダル技術からいうと、動画コンテンツが有効と思いますし、その作成にはAI技術が大いに使えます。そういう事業展開を図っていこうと考えています。

https://podcasters.spotify.com/pod/show/takeshi-watanabe12/episodes/Potential-e2g5vi9

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