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干し柿の段ボール

ワタナベアニさんの本を読んだ。

「買うまで何の本か分からない」本に出会ったのは久しぶりだ。
単行本は、基本的には「何が書いてあるか」「誰が書いているか」で購買を決めるからだ。


私は、小説の感覚で手にした。
ツルッパゲがフィクションだと思っていたからだ。

しかしながら、ワタナベアニさんのこれまで見てきた景色や経験が書かれた、随筆のような感じもした。


ワタナベアニさんの言葉に、背筋がピン、となる。


印象に残っているのは、干し柿のエピソードだ。

私も、友達に「干し柿の段ボールを見せるのは恥ずかしい」と思っていないだろうか。自分が誇れるものや、自信のあることについて、「恥ずかしい」と思ってしまっていないだろうか。


他人が持っているものが
欲しくなっていないだろうか。

自分に足りないものばかりに
目を向けていないだろうか。


これを読んで、とある論文を思い出した。



実はこれ、仕方のないことなのである。
ヒトには、Negativity Biasという、「足りないもの」に目がいくような機能が備わってしまっている。

これは、本能的に、戦略的に生存してくための能力だ。

他人が持っているものに羨ましがり、それを手に入れないと気が済まないようにできている。
この能力は、未来を見据えて計画できるヒトの素晴らしい一面でもあるので、うまく付き合っていきたい。


そのためにはやはり、経験を積み重ねることだ。
ヒトは自分の目でしか世の中を観察できない。「知っている」と「知らない」にはとても大きな境界線がある。


先ほどの質問を変えると、こうだ。

その「足りないもの」は羨ましさに値するものか?どこからその羨ましさがきたのか?わたしに本当に必要なのか?



アニさんに背中を押してもらった気がする。好きに、生きよう。



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今日も最後まで、ありがとうございます。

エジプトで買ったパピルス紙の絵画、どんどんヒビが入っていくんです。
「劣化」と「熟成」って紙一重です。物の見方の違い。

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