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文学フリマに出店した話

 文学フリマ大阪11へ初出店しました!
 当日の来場者数は4,283名だったそうで、終始会場内の人出が途切れることはありませんでした。


戯曲は売れるのか?

 今回の文学フリマ大阪11へ「戯曲」カテゴリーで出店していたのは、720店中、6店でした。例えば、「現代詩・散文詩」が34店、「俳句・短歌・川柳」が51店だったそうなので、圧倒的に少ないですね。
 そもそも本屋さんでも、戯曲は大きな本屋さんに行かなければコーナーがありません。売れない本の代表格(?)かもしれません。

 ただ、SNSでは告知していたので、“もしかしたら売れるかもしれない”と20冊の『GIKYOKU! Vol.1』をバックパックに詰め込んで文学フリマへと挑みました!(めっちゃ重かった……!)

前を行く人は、通り過ぎる人ばかり。

 いざ開場すると、すぐに2つの流れがあることに気づきました。
 Aから順にブースを巡る人(これが大多数)。そして、お目当てのブースへと一目散に向かう人。ここはJ-21なので、まだまだ人が回ってくるのには時間がかかりそうです。

 しばらくすると、ちらほらとブース前も人が通るようになってきました。次第に人は増えていくものの、前を通り過ぎるばかり。目をとめてくれる人はいません。“どうやらこれは、こちらから声を掛けないといけないらしい”と作戦変更です。
 声を掛けると2人に1人くらいの確率で、足を止めてくれます。
「これはどんな本ですか?」
 ああ、盲点でした。文学フリマだから、本の内容を上手く説明できなければいけなかったようです。つたない言葉で説明するものの、なかなか高校演劇の戯曲に興味を持ってもらうところまでいきません。

「すみません。小説を探しているので」
 そんな断られ方もしました。
 “小説とは違うけれど、戯曲も文学のように読めるのにな”と思いつつ。

見本を読んで来ました!という神様現る。

 文学フリマには見本誌コーナーがあります。
 見本誌として『GIKYOKU! Vol.1』を提出していました。

「見本を読んで面白かったので」

 その人が演劇人かどうかは聞きそびれました。でも、演劇人ではなかった気がします。
 当たり前のことだけど、“知ってもらうこと”がとても重要。(これは戯曲に限ったことではないですが)売る努力なしに売れることはない。
 文学フリマではよく「完売しましたー!」のような声をSNSで聞きます。でも大概のブースは、そんな飛ぶように本が売れている様子はありません。売れている本は、事前に話題になっていたり、売る努力を十分行っているのでしょう。

 通りがかった人に説明していると、おそらく戯曲を読んだことがないだろう人にもお買い上げいただきました。
 説明をしているうちに手に取っていただけて、中身をチェックされていたので、気に入っていただけたのだと思います。

やっぱり、指名買いは強い!

 お昼を過ぎてきてやって来たのは、指名買いの人たちでした。
 文学フリマのWebカタログで興味を持ってくれた人。SNSをチェックして来てくれた人。
 やはり、売る努力は重要です。Webカタログも自分で登録せねばなりませんし、SNSの発信も自分発です。誰も他にやってくれる人はいません。
 そしてこの人たちは、全員、演劇関係者でした。

 その中のひとりが、「高校演劇大会結果速報ブログ」をやられていたOさんでした。こんなところでお会いすることになるとは思わず、ビックリしました。もちろん、一方的に存じ上げていました。
 Oさんに『GIKYOKU!』をつくった理由を聞かれたのですが、これはもしかしたら高校演劇の外部の者の感覚だったのかもしれないと、今になって思います。外部の者がどうして高校演劇に関わるのか?同じように外部で活動されていたOさんだからこそ、気になられたのかもしれないと。

 そして、大阪の演劇部関係者にもお求めいただけました。
 実は、この1冊が大阪の高校演劇への初上陸だったのかもしれません。

結局、何冊売れたのか?

 文学フリマ大阪11で、『GIKYOKU! Vol.1』の頒布数は5冊でした。
 当然、大赤字です。参加費すら出ません。交通費なんてもってのほか。原価割れも良いところです。
 それでも、参加して良かったと思います。
 それはなぜかというと、「売ることの難しさ」を実際に体感することができたから。

 文学フリマだからといって勝手に本が売れることはありません。

 『GIKYOKU!』は、継続してこそ意味があると思っています。
 続けるためには『GIKYOKU! Vol.1』を売り切らねばなりません。売り切るためには、その認知度を上げていく必要があるでしょう。
 まだまだX(Twitter)のフォロワーも足らないですし、他の作戦も考えていくべきなのかもしれません。

 高校演劇関係者だけに訴求するのであれば、高校演劇のコンクールや公演等のイベントに赴くのが最も効果的でしょう。もちろん、兵庫県の高校演劇関係者への認知度を上げる必要もありますが、それだけでなく、一般の人にも読んで欲しい思いがあります。
 高校演劇内部へ『GIKYOKU!』を発信することと、外部へ発信することはまったく意味が異なるでしょう。
 一介の高校生が書いた戯曲が読みものとしても面白い。
 そう、私は信じてますが、私は戯曲を読める人(演劇人)なので、戯曲を読まない人(非演劇人)が読んで本当に面白いのかどうかは、本当は判別がつきません。
 高校演劇を紹介しているようで、実際はそのことを証明したいのかもしれません。

(高校演劇内部へのことについては、またの機会に書きたいと思います。)

 『GIKYOKU! Vol.1 - 鈴木 遊による兵庫県高校演劇創作脚本集』は、下記よりお求めいただけます。


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