無人島のふたり

昨日仕事帰りに立ち寄った本屋さんで
たまたま目に留まって買った山本文緒さんの最新刊「無人島のふたり」を
何となく読み始めたのに、あっという間に読み終えてしまった

私は文緒さんの熱狂的なファンというわけではなく
雲の上の人という感じでした
小説を読んでいても面白いとは思うけど
登場してくる人物や感情描写などがあまりに大人だったので
そこまで感情移入出来なかったのです

それでもよく繰り返し読んでいたのが
「そして私は一人になった」と
「再婚生活」です
私がいつも元気を貰っていた文緒さんの本といえば
圧倒的にエッセイでした

味気ない感想で申し訳ないのですが
文緒さんのエッセイはとても読みやすかった
何というか、あらゆるバランスが絶妙で
サクサク読めて、自分には珍しく、繰り返し読みたくなる本でした

今回最後の本となってしまったエッセイですが
読んで良かったと思いました
文緒さんのご逝去のニュースは本当にびっくりしたのですが
ずっと著書から離れていたし、何となくまだピンと来ていなかったけど
本を読んだことで、それらが消化出来ました

自分的には、再婚生活の時から持っていた
文緒さんのイメージからちっとも変わっていなかったし
ご自分の余命を知った後も、文緒さんのままだったなと
エッセイから感じました

何度生まれ変わっても
足元にも近付けない
そんな雲の上の人のイメージのままです

文緒さんは、このエッセイの中で
死後の世界も来世もあまり信じていないと
書かれていたんですが
自分がもうすぐ
「この世という職場を離れるので」
と書かれていたのが印象的でした

旦那さまとのやりとりも
微笑ましいやら切ないやらで
何度も涙、涙

文緒さんはいつも赤裸々に書いていられたのだから
私も赤裸々に感想文を書かせていただこうと
思ったのですが、やはり難しく 笑

ここまでが精一杯です

命を削って、最後まで美しい本を記してくれた
文緒さん
ありがとうございました