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共産党宣言

どうも、犬井です。

今回紹介する本は、カール・マルクス(=独、1818~1883)とフリードリヒ・エンゲルス(=独、1820~1895)の共著「共産党宣言」(1971)です。この本は1848年に出版された「Das Kommunistische Manifest」を翻訳した書です。「今日までのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」という有名な句に始まるこの宣言は、階級闘争におけるプロレタリアートの役割を明らかにしたマルクス主義の基本文献です。

本文は50ページほどで短いですが、その中でも簡単にまとめながら書き綴っていきたいと思います。

ブルジョア階級の台頭

今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である。圧制者と非圧制者は常に互いに対立して、ときには暗々のうちに、ときには公然と、普段の闘争を行ってきた。

われわれの時代では、全社会は、敵対する二大陣営、たがいに直接に対立する二大階級 ー ブルジョア階級とプロレタリア階級 ー に、だんだんと分かれていく。

産業革命による近代的大工業の出現は、ブルジョア階級の発展を後押しし、その資本を増加させ、中世から受け継いだ全ての階級を背後に押しやった。その結果、ブルジョア階級は近代的代議制国家において、独り占めの政治支配を闘いとった。

ブルジョア階級は、支配を握るに至ったところでは、人間を血の繋がったその長上者に結びつけていた色とりどりの封建的な絆を容赦無く切断し、人間と人間との間に、むき出しの利害以外の、つめたい「現金勘定」以外のいかなる絆をも残さなかった

ブルジョア階級は都市を発展させ、農村から多くの人口を吸収することで、農村を都市の支配に屈服させた。その結果、人口は凝集し、生産手段は集中し、財産は少数者の手に集積することとなった。

プロレタリア階級の悲哀

資本が発展するにつれて、同じだけプロレタリア階級も発展する。彼らは、労働を見出す間だけ生き、彼らの労働が資本を増殖する間だけ労働を見出す。

労働者は、自分の身を切り売りしなければならないから、他の全ての売り物と同じく一つの商品であり、したがって、一様に競争のあらゆる変転に、市場のあらゆる動揺にさらされている。

これまでの下層の中産階級、すなわち小工業者、商人、手工業者および農民、これらの階級はプロレタリア階級に転落する。彼らの小資本では大きな資本家との競争には勝てず、機械の発展により熟練の価値が奪われるからである。

共産主義者

共産主義者はこうしたプロレタリア階級がブルジョア階級の支配から脱することを目指す。

そのためには、私有財産を廃止する必要がある。こうしたことを言うと、「共産主義者は苦労して働いて得た財産を破棄しろと言うのか」と非難がなされる。

しかし、そうした労働が本当にプロレタリアに財産を与えるのだろうか?

賃金労働は資本という財産を作り出す。それは賃金労働を搾取するものであり、そしてまたそれは、新しい賃金労働を生産してそれを再び搾取するという条件がなくては、自ら増えることのない財産である。今日の形の財産は、資本と賃金労働の対立の中を動いているのである

だから、われわれがあくまで廃止しようと欲するのは、ただ、労働者は資本を増殖するためにのみ存在し、そして支配階級の利益が必要としなければ生活することができないという、そんな惨めな取得の性格である。

共産党宣言

一言で言えば、共産主義者はどこにおいても、現存の社会的ならびに政治的状態に反対するあらゆる革命運動を支持する。

共産主義者は、これまでの一切の社会秩序を強力的に転覆することによってのみ自己の目的が達成されることを公然と宣言する。支配階級よ、共産主義革命の前におののくがいい。プロレタリアは、革命においてくさりのほか失うべきものを持たない。彼らが獲得するのは世界である。

万国のプロレタリア団結せよ!

あとがき

1991年にソ連が崩壊して以降、日本において『共産主義』という言葉を無意識的に拒絶してしまう傾向が特に強いように思われます。私自身も一読する前は、少々身構えていました。しかし、現代における資本主義の失敗をまざまざと見ているからか、内容としては過激な部分も多々ありますが、全てが黙殺されるようなものではないと感じました。ポスト資本主義の世界を考えなくてはいけない現代こそ、共産主義がなぜ失敗したかも含め、改めて分析する必要があるように思います。

では。

#読書 #推薦図書 #共産党宣言 #カール・マルクス #フリードリヒ・エンゲルス

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