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短歌交換日記「水沼・桜庭・春木」002

朝起きると、ブルーライトで目を覚ますためにベッドの中でスマートフォンを触る習慣がある。
たいていXのタイムラインをぼんやり眺めるのだが、ある日の朝、1件のポストが目に止まった。
 
「短歌交換日記をやってくれる方をゆる募。週一ぐらいで日記(ないしそれに準ずるテクスト)+一首以上。公開等は三往復ぐらいしてから考えましょう。」
 
投稿されたばかりの水沼朔太郎さんのポストだった。
やってみたい、とすぐに思ったものの、一旦冷静になろうと起き上がって朝食を食べた。
食べ終わってから、水沼さんに初めてDMを送った。
 
2月は1ヶ月間毎日、散文日記+短歌を1首作って記録していた。
共同発行するネットプリントの企画のためだ。
コツコツ続けることは楽しかった。
でも二月が終わって、楽しかったから自分一人でもnoteで書いていくか、と思ったものの、書き出せない。
どうも自分一人ではモチベーションが保てないようだった。
どうしようか……と考えていたところに水沼さんのポストをちょうど見つけた。
 
水沼さんのXをフォローしたきっかけは、『現代短歌』2024年5月号のアンソロジーでご一緒したからだった。
アンソロジーと共に収録されている乾遥香さんと瀬戸夏子さんの対談の中で、乾さんに家族詠も書く人材として水沼さんと一緒に名前をあげていただいていた。
同じ関西在住、他の経歴も重なる部分があったので、勝手に親近感を抱いて水沼さんのXのアカウントをフォローした。
水沼さんはすぐにフォローバックしてくれた。
冒頭の水沼さんの投稿の、数日前のことだったと思う。
 
『現代短歌』2024年5号アンソロジーの公募枠に応募することを決めた時も速かった。
12月の半ばに『現代短歌』の公式アカウントから公募枠の募集がXに投稿されてすぐに、去年から連作を見てもらっているSさんにDMをした。
Sさんにこれまで見てもらった中で良かったと思う連作を3つあげてもらい、それらをその日のうちに現代短歌社に送った。
 
年が明けて、短歌講座をzoomで受講している時に、スマートフォンが震えて現代短歌社からメールが届いた。
アンソロジーの原稿依頼だった。
 
そうして、3月16日に現代短歌のアンソロジー号が発売された。
発売からもう二週間以上経つ。
発売後の変化は、表面的には大きなものはないと思う。
ただ、完成したアンソロジーと乾遥香さん&瀬戸夏子さんの対談を読んで、自分の中にいくつか変化があった。
 
・乾さん瀬戸さんの目を通して切り取った現在の短歌界を見られたこと
・アンソロジー参加者との交流が生まれたこと
 
後者の主な出来事は、水沼さん春木さんとの今回の企画に参加したことである。
今後、二つの変化をもとにどう広がっていくかはわからない。
でも自分にとって小さくない変化が起きたことはうれしいことだった。
今回見えた現代短歌界の一シーンが、自分の今後の作歌の道筋に影響を与えることは間違いない。
水沼さんと春木さんとのつながりは五年後、どうなっているだろうか。
ゆるやかでカラッとしたつながりが、続いていたらいいなと思う。
 
紙コップ耳にあてればこだまする声・鳥の声・朝食の音/桜庭紀子

前回の水沼朔太郎さんの日記はこちらです↓


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