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学習出版:執筆の7ステップ (2)差別の続き

教育現場での学生出版として、私のゼミではこれまで3冊26人による本を出しました。TOEICスコアアップ方法がテーマです。3年間の実践でわかってきたコツ、特に文章に個性や強みを出すための7つのステップをまとめています。

オリジナルコンテンツが見つけられない場合、どうするか? 

前回試みたのは、「読者が求めているもの」、私が書きたいもの」との重なりを明確にして、「ライバルが持っているもの」からは離れるというポイントでした。

でも、オリジナルコンテンツを見つけるなんて、そんなこと、多くの人は出来ません。だから、私たちはどうした、というのが今回のテーマです。

2.3. 「個性」なんて胡散臭い

昔、大ベストセラーになった「バカの壁」という本でこう書かれています。

「個性」を私が持っていたらどうなるか。つまり、私が極めて個性的な意見の持ち主で、それを人に伝えようとしている場合を考えてみる。
 その場合、自分にとってのみ最も適切な言葉遣いで人にしゃべりかけると、多分、誰も聞いてないということになる。

「みんな個性を持ちましょう」みたいな強迫観念を押し付ける教育、割とあると思うのですが、そういうものこそ、まさに画一的だと思います。「みんな違っていい」ということを皆に押し付けてみんなが個性的と言い張っているという点でみんな同じ。

個性、なんていう言葉に拘らなくてもいい。私たちはそう開き直りました。

でも、出版となると、"個性"のない、つまり、同じような本が何万冊もあったら、選ぶ方が困ります。だから、読者のためには選ぶ理由をしっかり言えるように、本の特徴は伝えられるようにしました。そこで考えたのは、三つです。

2.4. あなたの本が選ばれるための3つ

(1)自分の立ち位置をはっきりさせる

「なぜ私が語るのか」を考える。それがすぐにできれば良いですが難しいので、自分の立ち位置を考えてみます。

例えば、TOEICで平凡な結果しか出せなかったのに出版するというケース。努力しても結果を出せない苦労は、900点の人よりも強くあるはずです。「TOEIC900点の人の方が素晴らしいけれど、300点を1年も続けていた自分だから言えることがある」のようにまとめていけます。

先生でもない、満点でもない、私が体験して実感したからわかる。そんな立ち位置をはっきりさせました。

例えば、高得点ではなくても苦労したからこそ、言えることがあります。下の画像のように、「嫌いなことから逃げずに取り組んだこと」を文章にすることができます。

画像1

(2)よくあるトピックをあなたのバージョンで作る

カバー曲と一緒。名曲は様々なバージョンになって蘇ります。例えば「単語を覚える方法を工夫してスコアが上がった」という1つの成功談はよくあります。だから「今更、単語の勉強法は書き尽くされた古いネタ」として捨ててしまわず、「自分の場合はこうやった」を書けば良いのです。

ただし、注意は、その場合、できるだけ詳しく描写すること。役に立つかどうかは、すぐ使えるような技が書いてあるかどうかです。抽象的なことは誰でも言えます。具体的にすぐ真似できるように。とにかく具体的に。そのうち、自分らしさがどこにあるのか、わかってきます。

(3)読者の悩み相談をしてみる

先生じゃなくて友達に聞いてみたいことってありませんか? 自分と同じように感じている人がいるっていう、それだけでも読者は共感してくれるかもしれません。それは、立派なスコアの優秀な人や先生ではダメなのです。すごく伸びた成功事例ではなく、苦労した体験者の言葉こそ意味があるのです。

先生や本からではなく、仲間同士で教え合ったことを振り返って、こんな風に書いた学生もいます。

キャリセミ授業オープニング.001

それでもやっぱり難しい。

実は、多くの人はここで苦労します。大丈夫です

それでも簡単には差別化できないこともあります。むしろできません。オリジナルコンテンツが見つけられない場合、どうするか? 難しく考える必要はありません。それは、この7つのステップのこれからで、まだまだ見つけ出していけます。学生たちには「とりあえず保留しつつ、次へ進んでしまってください」と話して作業の中で見つかるタイミングを待ちます。なお、次の段階でオリジナルコンテンツが見つけられない場合について言及します。

今日のまとめ

自分の文章の特徴を伝えられるように!

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