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学習出版:執筆の7ステップ (5)文体

教育現場での学生出版として、私のゼミではこれま3冊26人による本を出しました。TOEICスコアアップ方法がテーマです。3年の実践でわかってきたコツ、特に文章に個性や強みを出すための7つのステップをまとめています。

5.1 名文家をきどるな

今回は5番目のステップです。文の書き方です。むやみに名文家をきどるようなことをせず、明瞭・簡潔を目指してきました。日本語の書き方の本はわんさかあります。が、じっくり読んでいられない、読んでも全部を生かすのは難しいのが現実。ゼミでは最低限、次の3点だけ挙げています。

5.2 文章の書き方講座最低限の三つ

(1)明瞭なセンテンス(文法)
(2)簡潔な段落構成
(3)具体性を持たせる(サラッと終わってしまう時)

以下で、補足します。

5.3 明瞭なセンテンス(文法)

日本語文法面で細かいことを言うとキリがありません。でも、過去の添削事例の中ではよくあるミスが次の三つに集約できます。

(1)書き言葉と話し言葉が入り乱れる(少しの乱れはOK,それも個性なのだから)。特にNGは、「なので」。これを使うと一気に話し言葉になります。そのほかよくある事例がこれ。

一切考えないでリフレッシュするのを心掛けていました。

「するを」→「することを」

(2)単に表記上のミス。漢字の変換よりも、ひらがなの1文字だけが抜けてしまうことが注意です。例えば「ごきげんいかですか?」

(3)主語述語の組み合わせ。主語と述語は、一つの文の中でできるだけ複雑に複数置かないようにします。例えばこんな事例。

どの企業でも明言は避けていますが、重役クラスの方々がTOEICの点数に興味を持ち、その後も関連する質問が多かったのは、意識している証拠と言えるでしょう。

特におかしい気がしないかもしれませんが、上記の中には、「重役クラス」と「質問」と二つの主語があります。さらにその後、「だと言えるでしょう」と別の主語述語があります。そこでちょっとだけ手を加えました。

どの企業もスコアについての明言は避けていますが、重役クラスの方々が興味を持って質問を多くすることは、点数を意識している証拠だと言えるでしょう。

5.4 簡潔な段落構成

段落のルールは簡単。1つのことだけをいう。段落のメインアイディアを段落のはじめで提示する。(メインアイディアについては三つ目のステップでやりました
これを言い換えると、言いたいことが変われば改行すると言うことです。イメージは5行程度。

5.5 サラッと終わってしまう時は

この部分は非常に重要。サラッと書いて終わらせるのではなく、じっくり伝えたい部分、特に文章終盤最後の十分の一ぐらいの箇所など、読ませたいところはじっくり書き込み、読み手の印象に深く刻むことを目指しましょう。

あっさりしたセンテンスに追加すべきは次の2点です。
(1)数字と固有名詞を追加する
(2)抽象名詞を避ける
上記の例では、「評価」と言う単語が繰り返し出てきた部分を描写に置き換えました。

まずはある原稿のビフォー・アフターをご覧ください。ちょっと長めですのでサラッと目を通すぐらいで・・・

ビフォー

就活に関しては、TOEICは使えると思います。TOEICなんて使えないという人も多いと思いますが、会社によって何点以上ないと総合職に就けないという会社もありました。逆に、TOEICが全然評価に入らない会社でも、自己PRや打ち込んだことで使えるので、必ず役に立ちます。私は自己PRでTOEICを使い、660点が評価されるというよりも、英語嫌いだが320点から340点上がったというところで評価を頂けました。また、「苦手なことに泥臭くしがみついて、克服できる人はなかなか居ない」という言葉もいただけました。高得点を取ることができなかった私が言っても、言い訳にしか聞こえないかもしれませんが、高得点を取得することだけに意味があるわけではなくて、努力して成果が出たことにも意味があるということを、身をもって体験できました。ぜひ、大学生の方は今すぐ始めてください。

アフター

就活に関しては、TOEICは必ず役に立ちます。「TOEICなんて使えない」という人も多いと思いますが、会社によっては「何点以上ないと総合職に就けない」などという会社もありました。逆に、TOEICが全然評価に入らない会社でも、自己PRや「学生時代に打ち込んだこと」のネタとして使えます。
1つの例として、私が実際の就活で体験したことを紹介します。
その企業は、メーカー兼商社で業種は営業職です。毎年1000人近くの応募があり、内定をもらえるのは5名程度と聞いていました。順調に、3人の部長による3次面接に進みました。この面接が通ったら、次に社長・役員面接が控えています。そのため、緊張感も倍に跳ね上がっていました。
しかし、TOEICのことで書いた「学生時代に打ち込んだこと」はしっかり伝えました。
その面接後、ちょっとした雑談の時間に人事部長から「苦手なことに泥臭くしがみついて、克服できる人はなかなか居ない」という言葉をいただけました。
結果的に学生時代に打ち込んだことでTOEICを使い、「660点が評価される」というよりも、「英語嫌いだが320点から340点上がった」というところで評価をされました。

次は6番目のステップに進みます。

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