第2次予備校 春期講習(初)

スクールウォーズならぬ生徒達

予備校Aの入塾テスト=クラス分けテストが終わりました。2日後からは、春休みに行われる春期講習が始まります。貰ったパンフレットを見ると、浪人生と合同で行う科目と現役生のみの講習など色々あるそうです。

(前の所は、浪人生は別だったなぁ。。。)

前日、例のYからメールが来ました。

Y「ねえ、明日英語の講習でしょ。クラス違うけど、終わったら話そう。」

私「わかった。校舎着いたらメールする。」

当日、英語のゼロクラスがある校舎と教室に向かいました。まだ肌寒い春の日です。普段全くしない花粉症がムズムズしだして虫の知らせとして感じ取りました。目元もピクピクしています。

(妙だな。予備校は一度行ってるから慣れてるんだけど。)

(もしかしたら、スカウターが反応したか?!)
※ドラゴンボールに出てくる惑星戦士が装着している機械。相手の戦闘力、位置、通信、録音など出来るメカニズム。

ゼロクラスは、講習のみ現役と浪人生で分かれているようです。丁度、現役生がいる教室に恐る恐る入ってみると驚いた光景が目に入ってきました。

(おい、ウチの学校の連中より凄いぞ。)

教室の後ろに誰かが寝ています。ヒップホップ系の格好をしているドレット頭のM君でした。机を見ると一番うしろにイベサーなど通っていそうな派手目なギャル男のO君、制服を着たギャルの彼女。女の子は鏡を見ながら化粧を整えています。窓側を見るとジャージを着たガングロギャルTがポツンと。どこか遠い目で窓を見ていました。

極め付きは、ブレザーの制服だが、きっちりした角刈りのD君とツーブロックのE君。ボンタンぐらいでかいスラックスを履いた2人組がしゃがみ込む形で座っていました。まさに、ビーバップハイスクールのような教室です。

(まさか、あのテスト通ってこのクラスになったのか。)

第一次予備校2でも書いていますが、私も見た目だけは、ちょっといかつめの高校生でしたけど、それですら超越する異次元空間でした。以前いた予備校でも、J君や派手目なB君などいましたけど、全く比較にならない光景です。

一番前には、真面目そうな学ラン姿の生徒がいます。一番上のボタンまで留めていました。不安そうに座っています。見た目は、発展クラスぽいです。彼は、F君。

時計を見ると授業開始5分前。仕方なく机に荷物を置いて座ることになりました。Yに早速メールです。

角刈りD「おい、新しい人来たぞ。学ランだ。」

ツーブロックE「あれ、どこの学校だろう。」

後ろから会話が聞こえてきます。

筆記用具を出して腕を組んでると、窓にいたガングロギャルのTが近づいてきました。

T「ね、筆記用具持ってる?忘れたから貸してよ。」

私「あ、ペンはある?消しゴムもあるよ。」

T「じゃ、両方。」

正直、こいつは何しに来たんだと驚愕しましたが、初対面の私に対してコミュ力高いなと感心したものです。

時報のベルが鳴り響きました。授業開始です。

ゼロクラスの講師は、太ったオタク系の30代ぐらいの人でした。少しどもっているせいか、挙動不審な動きをしています。

「ほっほっほ、本日は、、ゼロクラスの春期講習来てもらいありがとぉぉぉ、ございますぅうう。」

面白い口調に後ろのギャル男のカップル達が笑っています。そんな中、ヒップホップ系のMくんは後ろで寝たままでした。いびきをかいている始末です。

M「ぐぉーぐぉー、がっ!」

「ぐっ、ぐぁあーぐぁー」

(何という場面だ、カオスすぎて集中出来ん笑)

Yにすぐメールをしました。

「ゼロクラス、マジヤバい。授業終わったら話す。」

来た返事は、

Y「あ、そう。こっちは普通。楽しんでね。」

相変わらずぶっきらぼうでした。

アンケート

授業は、60分が2コマ。文法と英文読解の講習でした。
講師の先生が授業を開始すると何やら後ろのブレザーの角刈りD君が質問しました。

D「先生、俺らテキストありません。」

E「つか、ゼロクラスだから何もわかんなくて来てるし。」

何か授業に不安を感じているようです。真面目な気持ちで来ているんだなと感じ取りました。先生は、早速テキストを開く前にアンケートを取りました。

先生「アルファベット、ローマ字わからない人いますかぁ?」

シーンとしています。さすがにいないようです。

先生「Be動詞、一般動詞わからない人いますか?」

その時、いびきをかいていたM君が起き始めました

「あ、俺わかんないっす!おはようございます。」

満面の笑みを浮かべて手を挙げてました。

先程、筆記用具を貸したガングロギャルのTも手をかざしています。

一番前にいる真面目そうな学ランF君も大きくあげ始めました。

どうやらココからゼロクラスのスタートのようです。

先生「動名詞、受動態、不定詞、現在進行系はどうですか?」

すると、DとEの二人組が手を挙げました。ギャル男のカップルも恐る恐る周りを見て手を挙げてます。

すると、一度も手を挙げていない私に先生やクラスの人から視線を感じました。

先生「あなたは、手を挙げていないけど、英語の単元自体わかりますか?」

(おい、まさか何も知らないと思ってるんかい!笑)

周囲は当然、ざわつきだして、笑う人がチラホラいます。

私「いえ、全て高校2年生までなら知っています。」

「苦手なのは、入試レベルの文法と構文、長文読解です。」

Dが、後ろでヒューヒューとヤジをしています。

E「いいねぇ。出来るアピールしちゃう?!」

(俺、絶対ゼロクラスじゃない気がしてきた。。。)

先生「おかしいなぁぁ。それだったら基礎クラスなはずなんだけどぉお。」

さらに困惑して先生は挙動不審になってきました。手汗が凄かったのを覚えています。当然でしょう。これだけ差が激しいクラスは普通無いはずです。

先生は、少し教務に相談してくるそうです。時間が空きました。

授業開始

プルプル・・・。バイブレーションが鳴り響きます。Yからメールが届きました。

Y「授業どう?。こっちは、アンケート取ってる。」

私「いやうちも同じ。つか、レベルがばらつきが有りすぎて先生困ってるよ。」

Y「え、どうゆうこと。ゼロクラスってアルファベットから?」

私「いや、それはいなかったけど、俺がどうもゼロクラスじゃないぽい。」

Y「なにそれ、あとで聞かせてね。もう授業始まった。」

どんどん足音が近づいてきました。先生が戻ってきたようです。

先生「あ、貴方聞いてみたんだけど、帰りに一度教務に寄ってください。」

「もし、基礎クラスだったら振替出来るそうです。」

私「わかりました。」

一段落して、授業開始です。

先生は、テキストを持ちながらホワイトボードに色々と書いています。どうやらゼロクラスの方針を決めていくようです。

・今日Be動詞~一般動詞の概要、問題演習
・明日現在進行系、受動態の概要、問題演習
・明後日動名詞、不定詞、冠詞の概要、問題演習
・最終日は、上記の復習後に確認テスト。

先生は、基礎クラスも担当しているようですが、上記の単元について知っているか、知らないか。の違いから進めるようです。但し、基礎クラスに上がると4月から長文読解の演習もやれるようなので、宿題も増えると聞きました。

先生「アルファベット書けない人もいるので、ゼロクラスと言ってもばらつきあるんですよねぇ。。」

(なるほど。ある意味、出来ない人に合わせてるんだな。)

今日は、Be動詞と一般動詞なのでほぼ簡単です。ホワイトボードに書いてある概要をノートに写して、いつも通りに先生のコメントも記載しました。

60分が経過しました。次のコマまで10分休憩です。クラスの皆は、ため息交じりに疲れている人も結構います。ヒップホップのM君は、かなりおつかれです。

M「あー、疲れたぁ。。まだねみぃいわ。」

E「あー、マジねむぃ。Mまた寝たら?」

くだらなぁい冗談を言って後ろから笑い声が聞こえてきました。

よく見るとM君こそ、制服は着ていませんがブレザーのDとE君と知り合いだそうです。

2コマ目も終わり、お昼休みになりました。私は、Yを誘ってどこかご飯を買いに行こうと思ったのです。教室を出る前に先程のTが筆記用具を返しに来ました。1時間半前の時より余裕がある感じです。

T「あ、これありがとう。明日はちゃんと持ってくるね。」

「授業どうだった?君、結構出来る系じゃない?」

どうやら、私の事が勉強出来る人に見えてるご様子です。

私「いや、前も予備校行ってて基礎は学んでるはずなんだ。」

「けど、ここのテストで35点かな。それでゼロクラスになったんだよ。」

Tは、それを聞いて納得してくれた様子です。彼女は、指のネイルが際立ちます。特に鼻につく香水が一番漂いました。

T「そうなんだ、ウチ英語全然わからないから、明日からまたよろしくね♪」

派手目な子ですが、Yと違って素直な印象を持ちました。この子が教室に出ていくと、今度はギャル男カップルの彼氏から話しかけらました。

彼は、O君。下町の公立高校に通っています。校則が自由ぽいです。一緒にいる彼女と定時制に通っているとか。彼らは学年が1つ上のようです。。

私「定時の4年生なら一個上ですよね。俺一つ下なんで、敬語使いますよ。」

o君「いや、現役同士だし、大学入ったら一個下の代だからタメ語でいいよ。」

見た目と裏腹に紳士のようです。オラオラ感もなく淡々としていました。

O君「あれ、さっきのジャージ着た子に話しかけられて無かった?知り合い?」

当然、初対面ですので素性など知る由もありません。外から見ると自然に見えたようでした。事情を話すと理解してくれました。午後も同じ授業に出るので、挨拶もそそくさに。


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