第二次予備校 春期講習(続2)
しかし、春期講習はたった4日間。合宿でもないのにこんな一目惚れなんてあるのかと驚いていた所でした。私自身も確かに一目惚れした人いますけど、こんな短期間で好きになったことはありませんでした。
しかし、この先1年程は、高校が終われば夕方から夜は授業。そして、休みになれば講習や合宿が待ち構えています。親密になりたい気持ちはわからなくもない。しかし、最終日に言ってくるとは予想外でした。
(Tはともかくとして、またYかぁ。。。)
そう、前回いた予備校で一悶着を起こした事件を脳裏を思い返したのです。有名大学付属のJ君が起こしたあのトラブル。半年が経過したとは言え、まだまだ遠い過去ではない。
D「俺、昔からギャル好きで、イベサーとか行ったことあるんだけど、」
「気になった子からギャル男じゃないと駄目だって言われて縁無いんだよね。」
(確かにギャルは、ヤンキー寄りでもギャル男ぽい職人とか今風のとっぽい奴じゃないと難しいよなあ。)
M「あ、おれは色白で小さい子好きなんだよ。」
「あの子、R&B好きでしょ?鼻歌歌ってて。だから話題が合うかなって。」
緊張が解れたのか、饒舌になってきています。ただ、Yの好みではないのでハードルは高い気がしました。
私「うーん、Tについてはまだ何も知らないし、県外に住んでることぐらいしかわからん。」
「しかも、彼氏いるか聞いてないよ。」
DとMは、「マジでっ!?」と驚いていた顔をしています。
私「しかも、Yについては前いた予備校で一悶着あって辞めたほうがいい。」
「○○大附属あるでしょう。そこの奴がYにちょっかい出して彼氏挑発した挙げ句揉めたから。」
DとMは、中学受験をしているので、○○大附属は当然知っていました。揉めたJ君の話をしたら、ドン引きでした。
D「いや、実は智聖と仲がいいから、出来てんじゃね?って俺らで話題出てて。」
M「けど、YもTも仲いいからどっちが彼女かわからないし、一応聞いてみよって。」
(うーん、そんな仲良く見えるか?まぁいいか。)
丁度、煙が漂ってきました。浪人生らしき人や現役生ぽい生徒が集まって喫煙をしています。春の風に乗って匂いが渦を巻いています。丁度話し出して15分ぐらい経過していました。昼休みは残り30分です。
(そろそろ頃合いだな。お別れです。)
「あ、俺そろそろ行かなきゃいけないから、Tについては聞けることがあれば聞いておくよ。」
DとMには、帰りに会えたらもう一度話す約束をして解散しました。
昼休みの一コマ
DとM君のカミングアウトから、昼休みも残り30分。コミュニティスペースに向かいました。そそくさと急ぎます。
二人は、軽めの昼食は済ませてもうジュースと紙パックを片手に国語の予習をしていました。
Y「あ、遅かったね。話なんだったの?」
T「ホント、急に話しかけられて無かった?」
「あの二人とそんな仲良かったっけ?」
当然、疑問に思うのも当たり前です。DとM君についてはカップルのOさんとCさんより話している場面が少ないからです。
(まさか、君らの事を言われていたなんて言えねぇな。。)
私は、買ってきたコンビニ弁当を食べながら上手く流しておきました。
私「いや、高校で共通の知り合いがいたぽくて」
「彼らがその人について面識あるか聞かれただけ。」
あくまでも自然な流れです。ところがYが珍しくカンを働かせていました。無表情でこちらを見ています。
Y「なんか嫌だ。嘘っぽいし。」
「てか、女絡みじゃない?何かうちらのこと聞いてきた?」
Tは、知る由もないないので、びっくりしていて当然です。
T「え、なんでうちらの話が出んの??」
Y「あのドレット頭の人、やたらウチ見てくんだよね。」
「Tちゃんも、スポーツ刈り(角刈りと同じに見える)の人にガン見されてたし。」
常日頃からM君の視線を感じていて、校舎で話してた時にもTを見ていた様子に気付いてたと言うのです。これには、さすがにびっくりしました。
私「うーん、どうかな。自意識過剰かもよ?」
Yは、珍しく軽く怒ってきました。
Y「あんた、Jの時の事件覚えているよね?彼氏のTから言われてるでしょ。」
(あ、そういえば、隠れたミッションがあったんだ。)
11月末に、彼氏Tさんとの事件があった後に二人で買物に行きました。彼は本当に優しい人でYに対して心配をしているようでした。
T「智聖くん、こんな事言うのもなんだが」
「予備校には俺は行けない。良かったら変な男が来たらはじいといてくれないか。」
「なんかあれば報告してくれ。相談も乗る。」
本来であれば私は門外漢なはずですが、シークレットサービスのような意味合いで仕方なく依頼を受けたわけでした。ただ、Yはともかくとして、Tはよく知りません。少し聞いてみる余地はありそうです。
私「わかった。正直に言う。特に秘密にしてくれとは言われなんだ。」
「実は、YはM君が気になっていて、TちゃんはD君が気になっているそうだ。」
「ちなみに俺がYとTどちらかの彼氏に見られてたぽいぞ。」
するとYが爆笑してきました。
Y「え、またソレ。勘弁してよ。Tちゃん笑っちゃうよね。」
T「いやーどんだけソレ妄想してんの。やばいって♪」
手を叩きながらゲラゲラしていました。
Y「いや、君はホントあり得ないから。キスも無理。」
T「えー、ソレ言い過ぎだよ。智聖くんかっこいいよ。」
「だって筆記試験貸してくれたし、話しかけても嫌な顔しない。」
まさに天国地獄の甘口辛口コメントでした。
(喜んでいいのか、がっくりしていいのか。)
私「そういえば、筆記用具さ、後ろにいたDとかE君、前に居た真面目なF君いたでしょ。」
「よりによって少し横の俺に何で話し掛けたの?」
講習中、とても気になってた点でした。
T「いや、カップルのO君とかCちゃんは、出来上がったし~。」
「F君は、真面目君だから驚くかなって。E君達は、声掛けづらかった。」
「けど、智聖君、丁度一番最後に来たよね?サーフ系ぽかったから、違和感無かったよ。」
(なるほど。ボサッと窓を見ていただけでなく、空間認識能力は高いんだろうなぁ。)
Yもコレを聞いて納得です。話題を変えてみました。
私「それで、Tちゃん、彼氏いるの?Dとかどう?」
問いかけてみました。すると複雑そうな表情で悩みこんでいます。
T「同じ高校の彼氏いたけど、クリスマスに喧嘩しちゃった。」
「別れた。けど、今他中の元彼と曖昧かも。」
どうやら、曖昧な関係の男性がいるそうです。今まで3人付き合ってきたようでした。1人目は、中学校の先輩。トッポイ人。2人目は、他中の元彼。中3の頃仲良かった同級生の男子から紹介されたようです。3人目は、たまたまバイト先が一緒だった同じ高校のギャル男だそうです。
Y「やっぱりワルぽいか爽やかなイケメンに惹かれるよねえ。」
同調していたら昼休みも後10分となりました。
T「あ、D君はよく知らないし、ちょっとヤンキー入ってるよね。髪型とか私服とか。」
「ガチのヤンキー系よりかは、少し渋谷ぽいというか、サーフィンやってる方が好きかも。」
どうやら、D君はまだまだ遠い模様。どのようにいただいた意見を伝えようか迷う所です。
私「Yは、B系とかドレット頭好きじゃないだろ?」
Yは、そう言われつつも満更でもない表情をしていました。
「じゃあ、YはともかくとしてTちゃんは、一回Dと話してみたら?」
「一回機会作るよ。」
T「え、いいよ~。悪いし。軽く挨拶程度ならいいけど。」
Y「あたしもそれくらいならいいよ~。」
そろそろ午後の授業が始まるので、早々にコミュニティスペースを立ち去りました。
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