見出し画像

僕はイエローでホワイトでちょっとブルー

ずっと気になっていた『僕はイエローでホワイトでちょっとブルー』を読み終えた感想を簡単に書きたいと思います。

この本は14歳の少年とその母親であるブレイディみかこ、とのやりとりが中心となり書かれている本です。ノンフィクション、小説、エッセイが混じっています。

舞台は英国で、経済の格差、階級格差、差別やLGBTQなどがリアルに書かれています。

英国はEU離脱によって、移民との共存が問題となっています。学校内でも東洋人というだけで、差別的な発言を受けたり、住んでいる場所が貧困地域であるだけでいじめに遭うなど差別や階級格差が英国では顕在している事をこの本を通じて理解しました。

この本を通じて多様性において大切なことは、「エンパシー」であると感じました。
エンパシーと混同して間違われやすい言葉としてあるのが「シンパシー」です。
シンパシーとは、「誰かを可哀想だと思う感情」などを指します。
一方エンパシーは「他人の感情や経験などを理解する能力」です。

エンパシーとは、自分がその人の立場だったらどうだろうと想像する事が大切なのである。シンパシーは可哀想な立場の人や問題を抱えた人々に対して抱く感情のことであるので、感情的状態であるのに対して、エンパシーは自ら相手の思考や経験を理解しようと努めることであるので知的作業ともいえます。

このエンパシーの重要性を実感するお話が、ブレイディの息子と同じクラスメイトであるダニエルについてです。
息子とダニエルは中学入学当初、よく喧嘩をしていました。理由は黒人であるダニエルが東洋人である息子に対して差別発言をよくしていたからです。しかしその差別発言に対して息子は「それは良くないよ」とダニエルに向き合い続けました。元々音楽の趣味が合うもの同士なので、いがみ合いながらも同じ時間を過ごす事で、互いのバックグラウンドに関心を抱き、理解するようになります。息子はダニエルの両親が移民である事を知り、その影響で差別的発言をしてしまっている事を理解し、ダニエルも息子の家族と一緒に映画を見にいって仲を深めていきました。そしてお互いに尊重できる関係性になり、親友のような間柄になるのです。

しかし、ダニエルの差別的発言を他のクラスメイトはよく思っていなく、ダニエルはいじめに遭ってしまいます。
ダニエルをいじめている人間はダニエルがどんな人間なのかを理解していない人達でした。
相手を理解しようとしないから見た目や発言などの表面的なモノで人を判断し、差別が生まれます。他者について「知ろう」「理解しよう」といった「知ろうとする行動」がないと、無知なまま偏見や差別が生まれるのだと感じました。

多様性が求められる時代で相手のことを深く理解しようとする姿勢はとても大切です。英国では幼少期から多様性やLGBTQに対する教育が行われており、中学生で既に政治、経済、貧困、多様性などの関心を抱いている人が多い事に驚きました。

私も視野を広げて多様性についてもっと深く知りたいとこの本を通じて思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?