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トリケラトプスの衰退

最終的に絶滅する。
それはわかっている。決まっている、といってもいい。
そこに向かって突き進んでいるだけなのだ。

トリケラトプスがゆっくりと動き出す。
最初はゆっくり、だが加速度、次第に早くなる。
どこにそんなスピードを潜ませていたのだろうか。
トリケラトプスは森を進む、邪魔するものはそれほどない、森、と言っても大きな草があるだけだ。それらを蹴散らしながら進んでいく。

餌を探しているのだろうか。
違う、彼らは眠るための場所を探しているのだ。
誰にも邪魔されずに、ゆっくりと眠るための場所を。
その場所を見つけることができれば、それだけでもう何もいらない、とさえ思う。

トリケラトプスの後ろに続くのは人類。
怒涛のような生き物の後ろになんとかついて走っているが、どうして、ついていく必要があるのだろうか。
必要なんて、なくて、単に弟子だからついていかなければならないのだ。
人類はかつて、トリケラトプスの弟子だった。

人類がトリケラトプスに弟子入りしたのは白亜紀。
それからずいぶん時間が経過したが、関係は変わっていない。
トリケラトプスが楽屋入りすれば、人類もついてきて、置いてある弁当の毒味をする。という名の弁当をもらえる。
だから人類は、お金がなくともなんとか生きながらえるのだ。
何もかもトリケラ師匠のおかげだ。

トリケラ師匠が舞台に上がれば、人々は笑い、泣き、怒り、喜び、感情をそのままに表現できる。
名人芸だった。

僕はそれを見たことがあって、確かに泣かされたのだった。

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