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黄色い爆弾を仕込む

ある本の話である。
その本に組み込まれた仕掛けを理解することは、現代人は不可能であろう。
なにしろ、その配列そのものが毒薬なのだ。
読んだものは、知らず知らずのうちに感染する。
そして、知らず知らずのうちに犯され、中毒になる。

その先に何があるのか、それは感染しないと経験できない。

だから僕が説明できるわけがないのだ。
僕はその本を読んだわけではない。
けれどその本の噂を聞いて、興味を持った。

配列が毒になる、理解できない。し、どう考えてもありえないんじゃないか、とも思う。

けれど、実際、感染した人も見たのだから、少しの信憑性はある。

たとえ、それが本による感染でないとしても、信じるに値するだけの迫力があった。
彼は、もう、意思疎通ができないほど、混沌として、時々何かを唸りながら眠っていた。
きっと、夢を見ているのだろう。
その本にまつわる、冒険を永遠にしているのだろう。

そして、本当にたまに彼は、しんぼる、と呟くのだった。

なんのシンボルなんだろうか。
彼に聞いても答えてくれない。

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