伊藤浩志

ストレスの研究をしている脳科学者です。福島原発事故後の健康問題について情報発信していま…

伊藤浩志

ストレスの研究をしている脳科学者です。福島原発事故後の健康問題について情報発信しています。最近では、新型コロナについても調べてます。元新聞記者です。ジャーナリズムとアカデミズムのいいとこ取り目指して、悪戦苦闘している毎日です。著書に『なぜ社会は分断するのか』などがあります。

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深刻な健康被害が見逃されているALPS処理水の海洋放出

風評であっても漁業関係者の健康リスクは「実害」科学的安全と社会的安心は別々ではない、安全だから安心する ー脳科学が明らかにした当たり前のことー    「安全と安心は違う。安全性はこれまでの説明で理解できるところがあるが、安心は別の問題」。処理水海洋放出について、相馬双葉漁協の今野組合長は、このように語ったという(7月19日付福島民報)。今野組合長だけでなく、この問題を巡っては連日、まるでコピーペーストしたかのように、同様のコメントが続いている。全漁連の坂本会長も、「科学的

    • 新型コロナワクチンでアルツハイマー病の予防ができる?

      帯状疱疹ワクチン接種でアルツハイマー病のリスクが低下さまざまな感染症が認知症の原因になる  帯状疱疹ワクチンなどの成人用のワクチン接種で、アルツハイマー病の発症リスクが低下することが分かった(注1)。アルツハイマー病のリスクを下げる効果があったワクチンは、帯状疱疹ワクチン、肺炎球菌ワクチンと、破傷風およびジフテリアの二種混合ワクチン、この二種に百日咳を加えた三種混合ワクチン。接種していない人と比べると、アルツハイマー病の発症リスクが25~30%低下した。  一方、新型コロナ

      • 育った環境が悪いと認知症になる?

        社会経済状態が悪い地域で育つと中年期以降の認知機能が低下する子育てに重要なのは隣近所の貧困克服と人とのつながりの豊かさ  米国からの報告。子どものころ住んでいた地域の社会経済状態と、その人が中高年になったときの認知機能を調べたところ、地域全体の所得や学歴が高く、社会的地位の高い住民が多い地域で育った人ほど、中高年になってからの脳の働きが良好なことが分かった。  米国の異なる4つの州の住民約5700人(平均55.1歳、女性59%、黒人23%)に、10歳のころ住んでいた住所を確

        • 従来の推定より深刻だった低線量被ばくの「がん死亡リスク」

          医療被ばくなどの対策強化に期待米英仏の共同研究(INWORKS)で明らかに  原子力発電所などで働いている放射線業務従事者、約31万人に対する国際疫学研究で、低線量被ばくによるがん死亡リスクは、従来の推定より高いことが明らかになった。研究チームは、現代社会の主要な関心事となっている医療、職業、および環境における低線量被ばくの防護策の強化に役立つ結果だ、としている。  この国際調査は、INWORKS(インワークス)と呼ばれている。1944年から米国、英国、フランス、3カ国

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          調査方法に問題がある福島の小児甲状腺検査

          放射線被ばくで がん発見率上昇せず甲状腺検査評価部会が「まとめ案」を公表  福島第一原子力発電所事故で、当時18歳以下だった福島県民を対象に行われている甲状腺検査について、福島県県民健康調査検討委員会の甲状腺検査評価部会は7月28日、「先行検査から検査4回目までにおいて、甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」とする、これまでの検査結果に対する総決算となる「まとめ案」を公表した。  福島県は、事故当時、18歳以下だった約38万人を対象に甲状腺検査を実施、2023年

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          中国、国産米なども放射性物質の検査強化

           読売新聞朝刊(7月28日付)によると、中国の税関当局が、日本産のコメや酒、菓子などを対象に、輸入の通関時に放射性物質検査を行っていることが分かった。事実上の輸入制限で、8月にも予定されている東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出を強く牽制する狙いがあるとみられる。  海産物ならまだ分かるが、なんで、コメ、酒、菓子なんだろうか。台湾問題で圧力を強める日本への、見え見えの政治的駆け引きだ。ある意味、中国の態度はとても分かりやすい。  これでも日本政府は、処理水そ

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