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'24 J2 第1節 大分vs仙台 レビュー

 16,075人のサポーターが期待を胸に詰めかけた第1節は1-1の引き分け。新しい「シン・カタノサッカー」の方向性と課題、片野坂監督の見事な修正力が見えた面白い試合となりました。フォーメーションは4-2-3-1で配置は以下の通りです。

初期フォーメーション


 


シン・カタノサッカーが目指すもの

 3年前のボールを大切にポゼッションするカタノサッカーとは打って変わって、シン・カタノサッカーは以下の特徴が見られました。

①素早くボールを前へ送り、セカンドボールを拾ってゴールを迫ること
②相手がボールを持っている時や、相手にボール奪われた後にハイプレッシャーをかけてボールを奪取し、ゴールへ迫ること

 ポゼッション型のチームへの対策が進んだ現代サッカーの潮流を受けて、大分も強度の高い縦に早いサッカーを目指していることが、開幕節から感じられました。
 前記事で書いた「CBがこのサッカーの肝」という点は見事に2CBが遂行。特に安藤はほとんどの競り合いで勝負し、相手FWに起点を作らせず、非常に効いていました。
 また、ハイプレッシャーからボールを奪取し、シュートまで持っていく場面もいくつかあり、狙いがうまくいっている場面もありました。
 しかし、前半は良い守備ができていても、良い攻撃(特に①の特徴)ができていたかというとそうではなかったと思います。そこに現段階のシン・カタノサッカーの課題があると思います。


シン・カタノサッカーの問題点

 今日の1番の攻撃の問題点は「FWがボールを収められない」ことでした。今日の1トップは宇津元選手で身長は178cmとFWとしては小柄な選手です。ハイプレッシングには向いている選手ですが、ポストプレーに向いている選手とは言えません。今日の前半はGKからFWにロングボールを送る場面が非常に多く、宇津元選手が収められずに相手にボールが渡ってしまう場面が多々ありました。作戦だったのかもしれませんが、それが厳しかった場合、もう少し繋ぐという選択肢もこれからは合って良いと思います。
 「縦に早いサッカー = 縦ポンサッカー」ではないでしょうから、もう少し「裏のスペースを狙う」や「角度をつけてサイドにあてる」などの工夫があると相手も対策しずらいと思いました。


片野坂監督の修正力

 事故的な1点を取られて迎えた後半には、片野坂監督の流石とも言える采配が光りました。後半11分に3枚替え。以下のフォーメーションになりました。
宇津元 → 長沢
松尾 → 中川
ペレイラ → 野嶽

後半11分からのフォーメーション

 この交代の秀逸なところは、ただ人を変えただけではなく、フォーメーションを変えて、中盤の枚数を2枚から3枚に増やし、右SBの位置を少し上げた点にあります。それによってカウンターのリスクは増しますが、中盤の枚数を増やすことで縦ポンに頼らず、中盤からビルドアップすることができるようになりました。特に中川は定位置はなく、縦横無尽に駆け回り、チームの潤滑油になっていました。
 実際に同点弾は真ん中の中川、堅心の関係性から生まれており、中川→堅心→薩川→長沢と交代出場した3選手が絡むゴールとなりました。野嶽が上がることでクロスが増え、長沢の高さも生きる。試合の問題点を見抜き、的確な修正をする片野坂監督は改めてすごいと思わされる後半の闘いぶりでした。


次節に向けて

 今節でもう一つ明らかになったことは「怪我人の多さ」です。特に前線の怪我人が多く、サムエル、伊佐、キム、鮎川、池田などは軽度以上の怪我をしているのではないかと推察されます。今日のメンバーだとなかなか前線でボールを収められないことが分かったので、伊佐やキムが代わりに出られるとまた面白そうです。それが無理なら、同じ轍は踏まないでしょうから、片野坂監督がどのような修正をしてくるか楽しみにしたいと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。少しでも「面白かった」「参考になった」と思っていただけたら「スキ」ボタンを押していただけると励みになります。
 次回は横浜FC戦のプレビューを出します。次回は必ず勝利を!!

 


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