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【感想】映画「君たちはどう生きるか」まだまだ現役でいるために、宮崎監督が下した決断?

「君たちはどう生きるか」と翻訳

「君たちはどう生きるか」というより「俺のスピードについて来れるか」みたいな映画だった。

尖ってる新人監督の映画みたいな、あまりの観客置いてきぼりっぷりに驚いた。絵がジブリじゃなかったら宮崎駿監督作品かどうか判別つかないかもしれない。

「君たちはどう生きるか」は、観客に内容を理解してもらうための手間を思いっきり省く、という決断をした作品だと感じました。
なぜその手間を省いたか?・・・それは、その分の労力を他のところに回したいからではないでしょうか。

ものづくりをしたことある人ならわかると思うんですけど、作品作りにおいて
自分の考えている内容を、受け取り手が理解できる内容に翻訳しなおす
と言う手間がすごく大変ですよね。制作過程の中でそこに1番時間がかかるというか。本作はそう言う「翻訳」をほとんどしなかった作品だと思いました。

翻訳は手間がかかる。めちゃくちゃめんどくさい。・・・すごくエネルギーを使う作業です。つまり「翻訳作業」というものは、歳を重ねるごとにだんだん辛くなってくるのではないかと推察します。
宮崎駿監督は2023年現在、御年82歳。作品に注ぐエネルギー配分を、理性的な翻訳作業ではなく直感的な作業の方に多く割きたいと考えたのではないでしょうか。

宮崎駿映画と翻訳の多寡

※改めて注釈 本記事での「翻訳」とは「作り手が自分の作品を、受け取り手に理解できるように内容を整え直す作業のこと」を指します。

翻訳の量が多いほど、万人ウケする作品。少ないほど、その逆。
宮崎駿映画は、作品を重ねるほど翻訳の量が減っていった印象。

個人的な感覚で言うと、ハウルあたりから翻訳が荒くなってきたと感じます。でもハウルは満足感もあったし、当時パンフレットも買いました。鑑賞後にパンフレットを買いたくなるかどうかって(自分が楽しめたかどうかの)指標になると思っているんですが、ジブリ映画、ハウル以降パンフレット・・・買ってないっすね・・・。
ハウル以降「わかる」より「わからない」の割合が多くなってきて、今までのような「無条件にたっぷり楽しませてくれるジブリ」ではなくなった感を無意識に感じ取っていたからかもしれません。

「生涯現役でアニメを作り続けたかったから」こうなった?

宮崎監督「新作を作りたいけど翻訳の手間が大変・・・。あ!じゃあ翻訳をしなければいいのでは?よーしそれならまだまだ現役でやっていけるぞー!」
みたいな経緯で、本作はドリフト走行で観客を振り落としまくる映画に仕上がったのでは。

新作を作りたいと思った時に、自らの限られたエネルギー分配を考えた結果、「翻訳の手間を大幅に省く」という決断をせざるを得なかった・・・のではないでしょうか。そう感じました。

#君たちはどう生きるか #ジブリ #感想

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