見出し画像

総合電機メーカーって死後?

総合電機という言葉を聞かなくなって久しい。かつてはNECとシャープ、ソニーグループ、東芝、パナソニックホールディングス、日立製作所、富士通、三菱電機を「総合電機8社」と呼んだ。テレビや半導体、パソコンでしのぎを削った各社は、事業再編を経て異なる道を歩む。2009年3月期の日立の巨額赤字から15年、8社の明暗がより鮮明になっている。本日経記事を要約すると共に所感を述べたい。

明暗が別れる総合電機メーカー
  • この15年間で最も企業の形を変えたのが日立。24年3月期の純利益は5899億円で、09年3月期の製造業最大の7873億円の最終赤字から復活を遂げた。

  • 売上高は約10兆円と15年前とほぼ変わっていないものの、調整後営業利益率で8%を基準とした厳選事業をそろえた。

  • 日立を純利益で上回るのがソニーGである。10年代前半のリストラ期を経て、ゲームと音楽、映画といったエンタメ事業を軸にバランス良く稼ぎ、24年3月期の純利益は9706億円となった。

  • 上位2社に続くのが、24年3月期にともに過去最高益を記録したパナソニックHDと三菱電機だ。

  • パナソニックHDは車部品子会社を米投資ファンドに売却。三菱電機は自動車部品事業を分社し、外部との協業をしやすくした。

  • 製造業からITサービス企業へと変貌を遂げた富士通とNECも長く増益基調が続く。

  • 富士通は半導体基板を手掛ける新光電気工業の売却を決めるなど、ITを軸とした選択と集中も進む。

  • 一方で、まだ成長軌道に乗れていないのが、経営の混乱が続いた東芝とシャープの2社。

  • 東芝は23年12月に非上場化して投資ファンドの日本産業パートナーズ傘下で抜本的な再建策を練る。人員削減など再成長のための経営基盤づくりを急ぐ。

  • シャープは16年に台湾の鴻海精密工業傘下となった後、一時的に業績は上向いたものの、液晶中心の事業構造は温存されたままだった。

  • 各社の事業内容をつぶさに見れば競合関係の事業は激減しており、もはや「総合電機8社」とひとくくりにはできなくなった。

最近は総合電機メーカーと言ってもピンとこない人が多いだろう。私は2015年の就活時代は総合電機メーカーからの内定を得たいと漠然と思っていたが、もはや総合電機メーカー8社は選択と集中により、事業形態は大きく変わり、総合電機メーカーという言葉は死後なのかもしれない。
圧倒的な日立、ソニーグループ以外にも、選択と集中で成功した三菱電機やパナソニックHD、DXの波に乗る増益中の富士通とNECと多種多様である。成長軌道に乗れていない東芝とシャープは、かつては世界的に波に乗っていたが、今や見る影も無い。群雄割拠ではなく、それぞれの企業が独自戦略を取るにせよ。この8社は間違いなく日本を代表する企業であり、日本の礎をこれからも支えていく企業だと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?