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嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~十四の歌~

《忍ぶ恋》 原作:河原左大臣
心がくるしいんよ、あんた。
乱れてる。どうにかして……。
一度でいいから身悶えするほど
わたしのこと抱いてほしい。
……そないしたら。

定家 「好きになったのは貴方のせい、妾のせいではない、と。
陸奥の しのぶもぢずり たれゆゑに乱れそめにし 我ならなくに」
蓮生 「今も昔も秘めた想いは苦しいもんやね。若い頃には俺にもそんな
事があったな。あの初恋のときめきは忘れられへんな」
定家 「手もよう握らんでな。二人でずっと降る雪を眺めていたもんや」
蓮生 「思えば、お互い若葉の頃やった」
定家 「もうあの頃には帰られへんけど、やっぱり戻りたいなぁ……」 

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