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嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~三十三の歌~

お花見 原作:紀友則
桜の樹の下には屍体が埋まっている、とは基次郎。
願わくは 花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃、とは西行。
なんでやねん? 苦しい話しばっかやん! 
桜はきれいでお空はまっさおや。
春やで! 明るい陽ぃの下でゴザひいていっぱいやろうな。
お重開けてマブダチ呼んで飲んだら、静御前も桜吹雪もご一緒や!
(注)基次郎=梶井基次郎[1901~1932]小説家。大阪の生まれ。西行=[1118~1190]平安後期の歌人・僧。静御前=源義経の側室。もと白拍子。絶世の美女。桜吹雪=江戸町奉行・遠山金四郎景元。桜吹雪の刺青で有名。

定家「ふん、お花見やものね、ぱっと賑やかに死んで花実咲かせようや」
蓮生「せやせや。達磨さん、ちょいとこっち向きなはれ、世の中は、月雪花に酒に女、とくらぁ。久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散)るらむ」
定家 「けど、そんなやったら、基次郎も西行も悔しゅうて、悔しゅうて化けて出て花見の宴会で大騒ぎやろな」
蓮生「まさしく、辞世の大宴会で、ええがな」


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