カデンツァ

海に潜る

深い深い海へ

私は海の泡となって

カプチーノと共にあなたの朝食に

顔出ししようか

あなたの朝は

色々なものに満ちあふれている

例えば彼女の声

大地の雪のように麗しく、山梔子の花のようだ

例えば彼女の手

あなたの頬にそっと触れて熱はないわねとささやく

例えば彼女の瞳

全てを映す透明で暖かい茶色の瞳

例えば彼女の非難

もっと愛さなきゃいけないのに出し惜しみすると

例えば彼女の料理

卵は一人2個までと決めたのに3個も出して

例えば彼女の歩行

くるくる廻ってバレリーナのように

例えば彼女のコート

着古していても味わい深い

例えば彼女の歌声

タイタンの妖女の声よ

こんなにも愛にあふれてるのに

あなたは不平は僕の専売特許とばかり

それでは世の男は何に満足すればいい

何もない朝、何もない昼、何もない夕べ

全てが虚しく あなたの周りには

音楽すらない

せめてカデンツァを弾いておくれよ

あなたがスマホで音楽を楽しまないなら

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