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グラディエーター

「何かを得るために歩き出す。何かを失えば止まり出す」 止まらぬように進まぬように、君だけを見れたらどれだけ幸せなんだろうか。 「プオーン、プオーン」 何万人の観衆の音が背中を強烈なほど掻きむしってくる。 何億人もの視線が頬を引きつねってくる。 生と死をかけた、いつ死ぬか分かりきったようで生きる道も与えられた、そんな仕事の中で、僕は生を謳歌する。 剣闘士。 これが僕の仕事であり、生きるために課せられた小さくて大きな役割なんだ。 そうやって見えなくなった苦しみを置

    • ヤブデマリ

       ついにここまで来た。 遠からず近くもなかった道のりはただ辛かった。 この事実だけは、誰にも疑わせない。  あの魔法の宮殿があると聞いて、体を起こし、脳を起こし、心をも叩き起こした。 全身の細胞があなたを求めるかの如く生気で満ち溢れたんだ。  古代より、古のごとく噂をされていた砂漠の中の砂の宮殿は、今、僕の目の前に佇んでいる。  どれほどのものを捨て、いかほどのものを諦めただろうか。 そう、この宮殿に眠る、財宝にありつくまで、あとどれほどの試練を掻い潜るのだろう

    グラディエーター