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塾は将来役に立つ力を身につけるところではないけれど

Books & Apps の足立さんの記事、よく読んでいます。おもしろいですね。
何がおもしろいって、ビジネスマンについて述べている話が自分の指導している生徒たちにもそっくりそのまま当てはまるからです。

例えば最近読んだ記事

普通の中学生は問題集をやって用語を覚えているのに対し、優秀な中学生は問題集をやるのと同時に、教科書で用語の意味を正確に覚えています。
普通の中学生は、問題で聞かれれば答えられるように用語を覚えている。
優秀な中学生は、意味を説明できるように用語を覚えている。
もうこの時期には大きな差がついているんですね。

他にもあります。

かなり社会が苦手な生徒を指導していた時のことです。
「中大兄皇子が即位して、天智天皇になりました。」
こんな記述が教科書にあって、そこを生徒に読ませてみると「即位」が読めない。
怪しいと思って、「これは『そくい』って読むんだけど、『即位』って何かわかってる?」と聞いてみました。
もちろんわかっていませんでした。

この生徒は成績下位の生徒だったのですが、成績下位になると教科書に書いてある文章を理解できていません。
「中大兄皇子」とか、「天智天皇」という、いかにも定期テストで出題されそうなところではなく、重要な事柄の説明文に出てくる語句がわからないのです。
そして当然、辞書で調べません。これでは理解できるはずがありません。

以前、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読みましたが、学習塾をやっているとこの事例には事欠きませんね。

用語の意味を調べられない生徒に対しては、実際に教科書や辞書をその場で見せてあげ、「こうやって書いてあるでしょ?」「ちゃんと調べないといけないよ」と、その都度一緒にやって教えてあげることが必要になります。

「自分で調べられるか」のように、テストの点数以外の種々の行動で、その生徒の知的レベルを感じることがよくあります。
こういった行動は、これまでの生活習慣の差から生じていることなので、一朝一夕での改善は難しいですね。

ただ、社会人になってもこういうところに大きな差があるという事実を聞くと、今自分が生徒たちを指導することで、将来に役立つことを教えられているのかなという、仕事に対するやりがいを感じることはできます。
ただ、塾なのでたとえ将来役立つ力を身につけてくれたとしても、目先のテストの点数が上がらなければ生徒たちはあっさりと辞めていきます。
テストの点数の方が大切です。

塾は、生徒の点数を上げる、志望校に合格させるために種々のことを行うサービス業だと思っています。
ですが、点数を上げたり志望校に合格させるためには、将来役に立つような力をつけさせる必要があるという側面があります。

このあたりが仕事としておもしろいなと思っています。

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