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使いたい必殺技

久しぶりに読もうと思って探していた親友からもらった本が親にブックオフで売られていた エニーバニー富島春です。

子供の頃はよく「使いたい必殺技」の話で盛り上がる。
男子にとっては、どんなに歳を重ねても楽しい話の一つでもあるだろう。
僕がその話の中でも一番記憶に残ってるのは、小学4年生の頃にクラスの席が近かった3、4人でその話をしていた時だ。

4人の中で仲が良かったのはA君一人だけで、他の二人B君C君とはあんまり喋ったことがなかった。
まず僕は、その当時サッカーをやっていたこともあり、サッカーアニメ「イナズマイレブン」の豪炎寺修也が使う「ファイヤトルネード」だと言った。
周りもイナズマイレブンが好きだったためみんな共感してくれて嬉しかった。
するとA君が、俺はドラゴンボールの「かめはめ波」がいいと言った。王道の必殺技だ。ドラゴンボールを見たことのない人でも知っている。
もちろんみんなは共感して話は盛り上がった。
すると、僕のあまり話をしたことがないB君が、ドラゴンボールの流れで、俺は「元気玉」が使いたいと言った。
僕は咄嗟に「え?」と言ってしまった。
と言うのも、B君にはあまり友達がいるようなイメージもなく、いつも一人でいるような奴だったからだ。
要するにB君がみんなの心に「オラに元気を分けてくれ!!」と語りかけたとしても両手を挙げる者がいなさそうだと思ったのだ。
仮にも分けてくれる心の優しい人がいてもそれは
彼の実家あたりからぷわ〜っと2.3人分が集まるくらいだと思った。
それはそれは小さな元気玉ができるだろう。色が薄めの。
すると「え?」という僕の一言から今の説明を全て察したかのようにそいつは
「ああ、ごめん間違えた!やっぱやめる!ゴテンクスのカミカゼアタック!」と早口で言い直した。
僕はすごく悪いことをしてしまったなと思いながらみんなで共感して話はそこで終わった。
だが僕は家に帰って気がついた。
ゴテンクスは、孫悟天とトランクスが合体(フュージョン)してできる技だと。
彼には多分フュージョンできる友達がいないと。
僕は小学4年生ながらに、使いたい技でその人の願いがわかることに気がついた。
それからというもの、僕はドラゴンボールごっこにそいつを混ぜて、僕たち二人は何度も体を交じわらせた。






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