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LAMB / ラム 【映画感想】

LAMB

DJ Koichiro Odakaからのおすすめ映画
「LAMB/ラム」を鑑賞しました。
A24配給、アイスランドの映画。現在はAmazonプライムビデオで見れます。

開始10分までセリフなし、
物語の中心となる”それ(アダ)”が全貌を表すのは約40分後。

音楽も、主人公夫婦の弟が昔やっていたという謎バンドのMVが流れるシーンや、突如妻がピアノを弾き出すシーン以外は印象的に流れる部分は特になし。
だったはず。
セリフも最小限で、ネイチャーホラーとは言われておりますが、ホラーっぽさはアダ出現以降はさほど感じず、何を見てるんだろうという感覚が最後まで。
不思議な映画でした。

監督は今回が初作のバルディミール・ヨハンソン。
元々は『ローグ・ワン』等の美術、特殊効果を担当していた方だそうで、
今作のインタビューでは”アダ”が成立しなければコメディになっていたかもと語っている。
そのくらい”アダ”の存在感、実在感が凄くて、確かにこの”アダ”が少しでも安っぽくなってしまったらなんだか白けてしまうよなぁと思う。美術、特殊効果をやっていたヨハンソン監督だからこそ出せた質感、絶妙なバランスなんだろうなと思う。

脚本はそのバルディミール・ヨハンソン監督とショーン氏の共同脚本。
国際的に有名な作家であるというショーン氏は、近作でロバート・エガース監督の「ノースマン 導かれし復讐者」でエガース監督と共同脚本を担当している。
また同郷アイスランドのビョークと10代の頃から友人で、ビョークの作品の作詞も何作か手掛けてている。
というか、映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」ではトム・ヨーク(映画には出てきませんが)とのデュエットでも有名な、「i've seen it all」で、ビョーク、ラース・フォン・トリアー監督と共にアカデミー賞楽曲部門にノミネートされている。

ショーンが作詞を担当した「isobel」

björk - isobel  
こちらのMVはミシェル・ゴンドリー作。

「ノースマン 導かれし復讐者」でもビョークは出演していて、これはショーンに頼まれたから出たとの事、仲良しですね。
とにかくこのセリフが少ない今作で、作家、作詞家でもあるショーン氏の貢献は大きのかなと思います。

映画は不穏な雰囲気で進みます。
終盤はこのまま3人で幸せに暮らせる事になったらいいのに、なんてさえ思います。が、「もう決まってるんだ」とばかりに突如終焉は訪れます。
最後のあの表情はどういった気持ちの表れなのか、、、

自分が一番映画で興奮するのは、見た事のないシーンを見た時と
なんて表現したら良いのか分からない感情になった時。何日かはその映画の事を思い出し、あれはどういった事だったんだろうと考えてしまうあの感じ。
少なくともこの2つが「LAMB/ラム」にはあって、奇妙でありながらとても魅力的な映画だと思います。
アダのお尻が霧の中で露わになるシーンと猫を膝に乗せて朝食をとるアダのシーンは必見です。是非ご覧になってください。




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