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第4の波(コロナ)第5の波(戦争)第6の波(AI)・・・じゃどうする?

       国家的な「異常事態」ですね

いま世界は、「非常」事態ではありません。「異常]なのです。
まさに「異常」です。
政治も経済も社会も文化も・・・この先が見えません。
異常はすでに、異常ではなくなって「通常」になっています。
気候現象が正直な証です。豪雨・台風・津波・地震・洪水・・・。
夏から、一気に冬になって、秋が消えてしまいました。

これを乗り越えるにはどうしたらよいでしょうか。
「平和な時に要求される能力」と、「激変を乗り越えるための能力」は異なります。いま期待されている能力は「混乱を乗り越えていく力」です。

     第4の波・第5の波。第6の波が、一度に押し寄せてきた

アルビン・トフラー(Alvin Toffler)が『第三の波』("The Third Wave")を発表したのは1980年でした。
彼はこの書籍で「産業革命と情報社会の変遷」について論じ、第一の波が「農業革命」、第二の波が「産業革命」であったとし、「情報技術や通信の進化」を指して第三の波と位置づけました。経済を中心に考えたのです。

あれから、43年経過しました。
トフラーが予測しなかった「第4の波」(コロナ)「第5の波」(戦争)そして、予想をはるかに上回る「第6の波」(AI)が、一挙に押し寄せてきました。ものすごいspeedで・・・。これが異常の実態です。
人間も社会は、完全に波に飲み込まれています。

これを「人新世」=「Anthropocene」(アントロポセン)という表現で、地質年代を区切る学説が、説得力を持つ時代です。核の使用などで,人間が地質年代を変えてしまったという説です。詳しくは、改めて書きます。

      トフラーの3つの波を整理しておきましょう

  1. 第一の波(Agricultural Age)は、農業時代です。人類は主に農業に従事し、生産手段として土地が中心でした。農業時代(Agricultural Age)は、おおよそ紀元前10,000年から18世紀後半まで続いたとされています。この時代は、人類が狩猟採集から農業への転換を経験し、食物の生産が主に農業に依存していた時期です。

  2. 第二の波(工業社会)は、産業が発展し、都市が急速に拡大した社会です。産業革命により、機械化や工業化が進みました。資本主義経済、大量生産、大量消費が特徴的で、社会構造が工業化に合わせて変化しました。

  3. 第三の波(情報社会)は、情報が主要な経済資源となる社会です。20世紀後半から21世紀の現在を指しています。情報技術とコンピューターの進化により、情報が中心となりました。グローバリゼーション、情報化、ネットワーク社会が台頭し、労働の形態や組織のあり方が変化しました。

    第4・第5・第6の波が、一挙に押し寄せてきました。

私の独断と偏見ですが、第4の波は「コロナ禍」です。
中国・武漢を基点としたコロナは、すっかり、社会と人間を「分断」させ、経済活動では「リモート化」が進んでしまいました。新しく生まれた「溝」は、政治を変質させ、人間の在り方を変えさせる力を持っています。これに「いかに対応するか」が問われていますね。

私たちは、200種類以上のライノウイルス・インフルエンザウイルスなどの中で生活をしているのですから、この多種多様なウイルスを根絶することはなかなかできないのでしょう。

新型コロナウイルスはリボ核酸(RNA)なので、「柔軟な粘土のような働き」をしますから、「遺伝子配列が変わる」ので、今後も変異を繰り返し、私たちを襲ってくると覚悟した方が良いようです。

       第5の波は「戦争」です。

この波は2つの大波に分かれます。1つは「ウクライナ侵攻」の波です。
もう1つは「ハマスとイスラエルの戦い」です。この二つは、世界戦争に発展する危険性を持った波で、いまだに方向性」がみえず、世界の政治・経済・文化・スポーツの在り方を根本から問い直す力を持っています。

ロシアが始めた「ウクライナ侵攻」は、世界から「中立」を否定してしまいました。アメリカ・EUを勢力と、中国・ロシア・北朝鮮という勢力の対立を鮮明にし、世界を「分断」しています。解決の糸口が見えない「波」です。

イスラムの武闘組織「ハマスのイスラエルに仕掛けた戦争」は、積年の恨み・憎しみから発したもので、イスラムの原理主義とイスラエルの原理主義の妥協のない戦いは、「和平交渉」という糸口を遮断し、国連も手を出すことができない世界大戦に発展する恐れを含んだ「波」です。

      第6の波は「人工知能(AI)」の波です。

「ITが社会を変容させる」とこれまでも言ってきましたが、
アメリカの「オープンAI」が、2022年10月30日に公開した「Chat GPT」は、わずか1年で世界の席巻してしまう大きな「波」になりました。
政治・経済・文化などあらゆる分野で変革のあらしを巻き起こしています。

最新のAI技術は、「偽情報」の拡散や「雇用」などで 幅広く社会に与える「波」ですから、どのように対応するか各国で議論が進んでいます。
「テクノロジーの進展が、すべての課題を解決する」という楽観論と「Aが人類を滅亡させかねない」という悲観論が交錯し、この新たの「波」は、透明性や安全性を如何に確保していくか大きな課題となっています。

      この3つの大波を乗り越える力は・・・

トフラーの指摘は、ヨーロッパ経済の発展を踏まえたものですから、すべての国家に当てはまるものではありません。
例えば、日本や中国です。この国家の歴史を振り返ると、トフラーの着想が普遍的ではないことが判ります。
しかし、大きな波が来て、それを乗り越えてきた人材が、それぞれの時代に存在したことも忘れることができません。

例えば、平安時代の末期の平清盛、戦国末期の織田信長が持っていた「行動力・判断力」は時代の波を越す力を持っていました。
彼らは「新・旧の対立を乗り越える力」の持ち主でした。波を巧みに利用して、新しい時代を拓いたのです。

しかし、彼らは「社会を安定させる力」になりませんでした。
「新しい社会を創造する力」を持っていたのは、源頼朝や徳川家康でした。
切り拓く能力と、それを社会に還元する能力の違いです。

中国史でいえば、「秦の始皇帝」が、中国史の新しい時代を切り拓きましたが、社会基盤を安定させたのは「漢の劉邦」でした。それぞれ、波の捉え方が違っていたのです。

ローマ史でいえば、「カイサル」は暗殺されましたが、「オクタウイアヌス」は新しい帝政をつくりました。パックスロマーナに続きます。

「時代を創造する力」と「時代を安定させる力」の違いです。

新型コロナウイルス・戦争・人工知能で混乱した社会をまとめる力が、どこにあるか見えませんが、これからの時代に必要とされる能力は、“創造力”とか“判断力”とか“実行力”といわれる力です。「生きる力」です。
 
                    もう一つの力は「経済力」です。

平清盛には、父親の忠盛が築き上げた豊かな経済力が背景にありました。
織田信長は「楽市楽座」の創設、堺など「物流の交流」の拠点を押さえました。
始皇帝には、先帝が「渭水盆地」の開拓で財を成していたし、
カイサルはガリア地方を征服し、巨大な経済力を持っていました。
経済力なくして「波を超える力」はありません。

こうしてみると、現在の日本の経済力の低下は、日本再生のエネルギーを燃やす力になっていないことが残念です。大きな波に対処できる経済力をしっかりつけなければ、日本は「世界から生き残ることができない」のです。
 
            人間は考える葦である

フランスの数学者・宗教・哲学者であるパスカルの『パンセ』(瞑想録)の中に、「考える葦である」があります。
 ・・・人間はひとくきの葦にすぎない。自然のなかで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。彼をおしつぶすために、宇宙全体が武装するには及ばない。蒸気や一滴の水でも彼を殺すのに十分である。だが、たとい宇宙が彼をおしつぶしても、人間は彼を殺すものより尊いだろう。なぜなら、彼は自分が死ねることと、宇宙の自分に対する優勢とを知っているからである。宇宙は何も知らない。だから、われわれの尊厳のすべては、考えることのなかにある。われわれはそこから立ち上がらなければならないのであって、われわれが満たすことのできない空間や時間からではない。だから、よく考えることを努めよう。ここに道徳の原理がある。                                                    前田陽一・柚木康 訳 中公新書                  
 
『宇宙』を『コロナ』と書き換えてください。分かり易くなります。

私たちは、「弱い一本の葦」にすぎない。現状は、コロナウイルスの脅威の前で立ち往生し、戦争に怯え、ITの脅威を受け入れるだけの「弱い存在」です。しかし、私たちの尊厳は「よく考えて」、果敢に挑戦し、乗り越えるところにあります。これが「考える葦」の意味です。

私たちは、科学の知識を駆使して「ワクチンを開発」し、「戦争を収め」、「AIを積極的に活用しよう」と知恵を絞っています。世界平和を実現するための努力を継続しなくてはならないと思います。Chat GPTは非常に便利です。5年後には+8になると信じています。
 
    
 
 

   

 
 
 

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