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人間は、一人では笑わない

あなたは「よく笑います」か?
大きな声で笑いますか。微笑み程度にしずかに笑いますか?
どんな時に、どんな場面で笑いますか?

私は、よく笑います。
「相手がいる時」に、特に笑います。
楽しく、心から、大声で、笑います・・・。

豚は笑わない。象も笑わない。キリンも、ジャガーも笑わない。
「笑うのは人間だけだ」といといわれる理由は
人間は「社会的な動物」で、「相手がある」からです。
笑いの対象を認識しているからだといわれます。
笑いに質がある。・・・どんなことが笑いを誘っているのか?

「笑いがない人」の人生は、寂しい。

どんな場面でも、笑いは必要です。
元気な人は良く笑う。しかし、病気の人・高齢者に笑いが少ないですね。
笑いには、エネルギーが必要だからでしょう。
人間は「不安」・「恐怖」があったら笑わないですね。

笑いは「他者との関係で生ま」れます。だから、笑うことに努めましょう。
必死になって「笑いのネタ」をつくる芸人もいます

リモート社会になって、「健康な笑い」の場面が消えています。
人間関係が希薄になった証拠です。笑いのない社会は危険です・・・。
 
<チョット寄り道> 他の動物の「笑」について
犬もサルも笑うのではないか。
ましてやチンパンジーなど霊長類は、くすぐられた時や楽しい時は笑うのではないか・・・という意見があります。
笑いについて「ネズミの実験」もあるようですが、喜びや楽しさの表現であっても「笑い」といえるかどうか議論が分かれています。
興味深いのは「イルカの実験」です。人間の笑いと同様であるかどうか研究されているところですね。

人間の笑いと動物の笑い行動は、必ずしも同じ感情や意味を持つわけではないでしょうが、共通する点は、楽しさや社会的な絆を強化する手段として進化してきたと考えられます。

笑いはストレス解消に良い

専門医の話では、笑いは「NK細胞」を活発にさせ、自律神経の頻繁な切り替えにより、脳を刺激するので、神経ペプチド(免疫機能活性化ホルモン)が全身に分泌され、医学・脳神経科学に有効な働きをするというのです。
ストレスが解消される副交感神経の役割ですね。

大笑いをしたらストレスがリセットされ、記憶が高まったり、粘り強く考えたりすることができるということを、私たちは体験的に理解していますね。
これは「脳機能への有効な効果である」いうことだそうです。

笑いに繋がる筋肉

「NK細胞」の活発化により、免疫力が強まり、風邪やインフルエンザにかかりにくくなるという効果も、期待できるそうです。

<チョット寄り道>笑いの語彙

「笑いの語彙」について考えて見よう。
英語では laugh smile  giggle  chuckle grin  simper guffaw・・・と、いろいろとありますね。
日本語ではどうでしょうか。 微笑 爆笑 談笑 破笑 哄笑 一笑 苦笑 嘲笑 冷笑 ・・・と多様ですね。
表現が異なりますが 豪傑笑い 高笑い 含み笑い 泣き笑い 独り笑い 思い出し笑い 照れ笑い 作り笑い せせら笑い  物笑い・・・と、質が異なりますね。
それぞれ、立ち位置・人間関係で、笑いの種類・内容が違うこともわかりますね。いろいろな海外の人に接していると「局面」による違いが明確です。
貴方は「どんな笑い」が多いですか?私は「談笑」が得意です。

笑いとアンガーは表裏一体です        
人間にとって、笑いと怒り(アンガー)は表裏一体です。
空腹など「生理的」な関係からくるイライラや怒りは、他の動物でも見られますが、「社会的」な関係が構築できていない動物が笑ったということは聞きません。ましてや魚も、貝類も笑いとは程遠い存在ですね。(笑い)

私は、高齢な人との会話は、必ず笑いで終わるように努力しています。
何事も「笑って終われば」、次につながるからです。深刻な、重い話でも、笑いに誘導することが重要です。笑いは、ヒトを元気にさせるからです。

笑っている場合じゃないだろう!

「笑っている場合じゃないだろう」という言葉は、
笑いの中にある「ゆとり」を失っている場合ですね。
笑いは、内面にあるものを表現するのですから、不安や恐怖があって、相手に対する「ゆとり」が重要な役割をもっています。

例えば、貴方が「希望通りの、良い評価をとれた時」は笑い、
納得できない。不満な結果の時は「笑えない」ことを思い出すといいです。
笑いは内心の表現です。
 
<チョット寄り道> 笑いの学問
「笑い」についての分析をしている学者が沢山います。
哲学者ではベルクソン(フランス)が有名です。
しかし、素人には分かりにくいです。

心理学者は「inferiority complex:劣等意識」であるといいます。
これが、すべての行動の起点になっているといいます。異なる観点から「笑い」を考えるのもいいですね。

アドラー心理学の観点から「行動から逆算して笑いを考える」こともいいですね。笑いと怒りは表裏一体です。アンガ―・マネジメントはコロナで変化しましたね。アドラー心理学は、一時期、爆発的に関心を持たれましたね。

チャップリンの笑いと風刺

チャップリンの「笑い」には「独特なメッセージ」が含まれていますね。
笑いの中に、人情味とか温かさを指摘する人がいますが、それと同時に「強烈な風刺」があって、単純な笑いをもって、現代の課題を吹き飛ばしています。
それ以上に「時代を切り取り、課題を提供する強さ」を持っています。
1941年の「独裁者」をみると、ヒトラーの本質をズバリ見抜き、その台頭の危険性を、笑いの中で警告していますね。 

               チャップリン 映画「独裁者」  

<チョット寄り道> 政治に風刺で対抗
ロシアのプーチン大統領を映像にしたらどんな映画ができるだろうか。 「笑いによる昇華」というには、あまりにも残酷な「現実の戦争」ですが、ロシアという風土を理解したうえで、「強烈な笑い」による風刺ができる映画が出現して欲しいと思います。

この点で、チャップリンの笑いは、辛辣で、「時代を超えた強さ」があります。 アルカイック・スマイルと国際性笑いの種類は多様です。笑いが「いろいろなサイン」を含んでいるからです。

曖昧な笑いのアルカイックスマイル

この中で、一番わかりにくいのは「アルカイック・スマイル」です。
アルカイック・スマイルは、一般的には古代ギリシャの彫像をさす言葉ですが、世界各地には、「微妙な表情をしたもの」があります。
笑いの「サインが意味するもの」が判りにくいものを総じてアルカイック・スマイルということが多いですね。曖昧さが魅力です。  

古代ギリシャのスマイル

顔の感情表現を極力抑えながら、「口元だけは微笑みの形を造っている」のが特徴です。

中尊寺 弥勒菩薩のスマイル

これは「生命感と幸福感を演出するためではないか」という人がいますが、不自然な笑いですね。この不自然さが、アルカイック・スマイルの魅力で好まれる理由です。微笑の「奥にあるもの」を想像させるからでしょう。

笑って誤魔化すが,通用しない 

日本人は「笑って誤魔化すのが上手である」といわれてきました。
が、最近は「はっきりものをいう日本人」が多くなりましたね。
国際化の進展が、曖昧な表現を許さなくなったのです。
国際会議を沢山こなしている人が「伝える技術」が必要だといいます。
もっと、日本を代表する人材がいないと、日本の国益が守れないと・・・
 
<チョット寄り道> 笑いの距離感

笑いには「距離感」が必要です。
お笑い芸人の「話芸」・「技術」は、この距離感を創り出すことです。
彼らはこの距離感から笑いを創造するのです。
「笑わせることができる人」は、相手との緊張関係から、やや「距離」を置いて、自分自身は安定した立場に置くことができる人に限られますね。

テレビなどで見られる「笑い」は、練り上げられた「台本」が前提にあります。ひとつの「表現技術」ですね。「能」に対する「狂言」があるように、笑いを引き出す「喜劇」はむかしからありましたね。
「見る自分」と「見られる自分」の間に「ゆとり」が生まれるでしょう

「笑いには治癒力がある」といわれます。

笑いは「NK(ナチョラル・キラー)細胞」を活発化させ、癌細胞を攻撃するといわれます。専門家は「笑いの効用」ということをいいます。

最近、私は「咽頭がん」を患っている友人と頻.繁に会話し、努めて笑う時間を増やしています。「笑いは、自律神経の切り替えが頻繁にできる」と聞くからです。専門家の話では、癌や糖尿病の治療に効果があるようなのです。

派手な会話ではありませんが、私は会話することが楽しいのです。
日常会話から生まれる笑いが心地よいのです。この場合、大切なものは「共感」です。共感を伝えあう手段として「笑い」があるのです。生理的にどのような影響を及ぼすか。リモートの時代です。笑いをしっかり研究する必要があります。
 
<チョット寄り道」>  自然な笑いと作り笑い
笑いを「顔の筋肉の活動という点」で見ると、「自然な笑い」と「作り笑い」の間で大きな差異があるようです。顔面筋肉をコントロールする神経が異なるからでしょう。
具体的に言えば、自然な笑いは、目の周りにある「眼輪筋」を収斂させるが、作り笑いは、眼輪筋の収斂が起きないそうです。わかり易く言えば、本気で楽しいかどうかですね。本物は強いです。

<チョット寄り道>  三人姉妹と喜劇
『三人姉妹』・『桜の園』は、ロシアの劇作家アントン・チェーホフの有名な作品です。帝政ロシア末期の知識階級の閉塞感を描いた作品ですから、全編が暗いです。
何とか明るさ・希望を見つけ出そうという人々を描いているのだから、そのままみれば、時代の波に乗り遅れていく人々の「悲劇」です。     

三人姉妹

しかし、作者は、注意書に「喜劇」と書いているのです。
ロシア革命寸前の物語ですから、時代の変遷で生まれる軋轢・悲劇を、あえて「喜劇として舞台化」するようにメモを残している意図はどこにあるのでしょうか。

だから、演出家も、俳優も苦心します。
腕の見せ所です。『桜の園』では、新興階級の「元使用人」に焦点を当てた舞台がありました。悲劇・喜劇は紙一重なのですね。「笑いの深さ」です。



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