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台湾研修

人生で一番最初に小説を書いたのは、小学校6年生の頃だ。

昔から頭の中でごちゃごちゃと考えることが好きで、好きというか、考えてしまうというか。

1枚の絵から、今見たこの景色から、幾らでも想像を膨らますことができる。

頭の中で文が出来て、これ良いかも、となっても、携帯のメモを開く頃には忘れている。

にわかに覚えていても、若干の表現の違いが大幅に足を引っ張ってくる。

文を書くことは好きだ。

丁寧に文を書くことは、意外と難しい。

こだわりを持たなければ、幾らでも書くことが出来る。誰でもそうだろう、と思う。

昨日、7人班の中から誰か一人が代表で校外学習の記事作成の為の文章を書く、という課題があった。

空港に着くまでのバス(約30分間)で、最大2000字で書きなさい、とのこと。

久しく文を書いていないような気がしたので、私が書きたいと迷わず立候補する。

幸い文を書くことに苦手意識を持っている子が多く、皆快く譲ってくれた。

久しぶりに、少しだけ丁寧に練ってみる。

難しい。

楽しい。

バスは静かだ。

寝ている子もいれば、私と同じように文を書く為か、iPhoneの画面とにらめっこしている子もいる。

何分で空港に着くのかが知らされていなかった為、程よく妥協した文章が完成した。

メモの機能に書いた文を大学の先生のLINEにコピーアンドペーストし、送信ボタンに触れる。

その一瞬、胸が高鳴った。

なんと言われるかが怖かった。

でも少しだけ練ってみたのだから、褒められるのではないかとも考えた。

期待値は高い。その、高鳴りだ。

バスの通路を挟んだ斜め前に座っていた先生は振り向き、言う。

「りんちゃんさすが文学部だね、
文章はこれでOKだよ」

少し、嬉しい。

さすが文学部、という言葉には、どんな意味が込められているのだろう。

文学部だから文が上手い?長く書ける?書くのが早い?

その全てが含まれていて欲しい、と思う。

だからその全てが含まれているのだろうと受け取った。

また少し、胸が高鳴る。

笑みがこぼれた。

「ありがとうございます」

笑顔で言った。

また直ぐに、こんな機会が訪れるといいな。

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