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建設の頓珍漢③【毎週ショートショートnote裏お題】

その日、大学の授業は午後からだった。

午前八時半までベッドの中でまどろんでいると、襖がノックされる。

「お休みの所、申し訳ありません。通っても宜しいでしょうか?」

知り合いの女性の声だ。彼女は、隣のビルの二階で働いていた。

「いえいえ、コチラこそ、お見苦しい所を見せてしまい申し訳ありません。どうぞお通り下さい」

寝ぼけ眼で、上半身だけ起こして応える。女性はペコリをお辞儀をすると、ベッドの脇を通り過ぎ、窓を開けてサッシに足をかけた。

隣のビルには、二階に向かうための階段が取り付けられていない。私の部屋の窓が、ちょうどビルの窓のすぐ向かいにあるので、そこから出入りしているのだ。

二限目のデータ処理入門の講義は休講…もう少し寝てても…

データ処理入門!

それなら今日は木曜日、茅束さんも九時に出勤する日だ!

私は飛び起きて、慌てて身支度を済ませ、部屋の掃除に取り掛かった。あんなにカッコイイ人に、だらしない姿を見られる訳にはいかないのだ。


(410字)
作品タイトルは、たらはかに(田原にか)さまの企画からお借りしました。

「建設の頓珍漢」の話も5編執筆予定です。そのため、この作品への#毎週ショートショートnote のタグ付けは自粛します。固有名詞を使っている点も、ショートショートとして望ましくありません。

裏お題が「頓珍漢な建設」ではなく「建設の頓珍漢」であることに頭を悩ませています。この話では、いろいろな頓珍漢の中に建設の頓珍漢を埋もれさせる。あるいは、建設の頓珍漢が切っ掛けで、様々な頓珍漢が巻き起こる話を意識してみました。

長編としては、コメディ要素を増やして読者を獲得しようという下心があります。あと『進撃の巨人』っぽい出だしは伏線です。

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