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沖縄米軍基地 と 原子力発電 ~弱い立場の人に負担を押し付ける構造~

日本を含めて人類の文明には、一部の人々に負担を強要して、その他の人々を富を享受するという構造が存在します。奴隷制度も多くの黒人奴隷を利用して、白人が富を享受しました。

 

米軍基地の歴史

第二次世界大戦(太平洋戦争)の末期、沖縄では3か月におよぶ日本と米軍との激しい地上戦がありました。戦後、旧日本軍基地は米軍に接収され、1951年の対日講和条約にて沖縄はアメリカの施政権下に入り、米軍が拡大しました。沖縄の米軍は朝鮮戦争、ベトナム戦争でも重要な役割を果たします。1972年に沖縄は日本に返還されましたが、米軍基地の多くは残ります。

沖縄県の負担

沖縄は日本の国土全体の0.6%です。一方で日本に存在する米軍基地の71%が沖縄に存在します(全国 262 km2、沖縄 185 km2, 2021年3月現在)。軍人の階級層、異国の地でストレス、日本を守っているという上から目線など、なにが関与しているかは不明ですが、米国軍人による事故や犯罪も多いようです。

ただ、日本全体でみると安全保障の面で米軍が日本に駐在していることのメリットは計り知れないことは(一部の人々を除き)誰もが認めるところです。即ち、日本全体では大きなメリットを享受し、事故や犯罪などのデメリットは沖縄県が一手に引き受けている構造になっています。

原子力発電も同じ構造

一部の人々の犠牲により、他の多くの日本国民がメリットを享受するという構造は、原子力発電の構造にも観察できます。原子力発電は事故が起きたときの巨大な損失リスクを、経済的に成り立ちにくい過疎化が進む田舎の地域に建設し、メリットは大都会で享受します。大都会の経済が地方を支えている面もありますので、構造は簡単ではありません。しかしながら、一部の人々に負担を押し付けて、大多数の人々がメリットを享受する構造は沖縄の米軍基地と同じです。

放射性廃棄物の最終処分場の場所の選定が行われています。現在の原子力発電の稼働橋上からは最終処分場が必須なことは理解できます。しかしながら選定されつつある貧困な地域は、永遠に近い時間大きな負担を引き受けることになります。奴隷制度や慰安婦問題は長くても数百年の問題ですが、最終処分場問題はほぼ永遠です。同じ日本人としていたたまれない気持ちになります。


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