EMちゃん
テイクアウトしたこのバナナジュース美味しい。最近ESくんずっと
YouTubeのそれ観てるね。
ESくん
有難いことに、まとめてアップしてくれている方がいてさぁ。本人の喋り
方の特徴と、著書の書きぶりがすごく似ていて、面白いんよ。ブルーベリー
も美味い。
網口渓太
何、誰々? ははぁ、ジジェクの動画ね。へぇ、尺が短いのもいいね。
ESくん
たとえばこれとか。
EMちゃん
ウケる。何でコックさんの格好なの(笑) ジジェクの享楽ってわけかしら。
網口渓太
深読みするもよし、切ってしまうもよし。
ESくん
ジジェクの言葉って、腑に落ちるし目が覚めるし、思慮が深くて好きなん
だけど、半信半疑で受け取ってしまっているところも少なくない。本当かよ
って。
網口渓太
分かる分かる。このコックに扮装した動画も、どこかかつての脳科学者の
茂木健一郎さんぽいもんね。両者とも、精神分析でいえば現実界、脳科学で
いえば無意識のような、人間の認知が及ばない領域を含めて表現しようとし
ているから、簡単には受け取りたくない気分になるのかもね。信用できない
語り手が語るミステリー小説を読んでいる感じ。
ESくん
ジョーカーぽいよね。だから、ジジェクの師であるラカンの理論を頭に入
れておかないと。
忘れないように、この本に載ってる「ボロメオの輪」の図を使って、三界
をシェーマしとこ。
EMちゃん
できたら見せて。そういえば、千葉雅也さんの『現代思想入門』にもラカ
ンの精神分析の分かりやすい解説があったわね。
以前、哲学科の大学院生たちとの読書会で、何かの出来事について「エディプス・コンプレックス」に重なるところがあったから話したら、現在では、フロイトの理論は間違っていることが証明されていて、今さらフロイトですかって感じで、笑われたことがあるわ。
ESくん
「客観世界は思い通りにならない」。まさに「去勢」体験じゃん(笑)
網口渓太
その場にいなかったから詳しいことは分からないけど、笑う必要はないね。というか、専門家だとしたらなおさら笑ってる場合じゃない。古い理論に新しい理論を見い出すくらいの気概を持ってもらわないと。井の中の蛙だよ。
EMちゃん
いい人たちなんだけど、専門分野に浸かり過ぎると、他分野との交流とか、アナロジーが固まってしまうのかもしれない。彼彼女たちは、連想ゲームは連想ゲーム、哲学的対話は哲学的対話って風に、真面目に分けてやってるわね。
網口渓太
学問は関係を分断するために生まれてきたからね。家は「あらゆるものは
そもそも関係している」が根っこにあるから、アプローチが違うとは思うね。まぁ、社会勉強だね(笑)
EMちゃん
そういうもんかしら。じゃあ、本が面白いからこのまま続けるわよ。
千葉先生の解説分かりやすすぎ。素敵。まぁ、この本をおすすめしてくれたの、哲学科のフーコーを専攻している大学院生なんだけど。うん、ゆるす。
ESくん
ラカンが有名になったのって、ボクもこの言葉がずっと引っかかっている
んだけど、「無意識はひとつのランガージュとして構造化されている」って
いう言葉がきっかけだったんでしょう?
網口渓太
「無意識は言語のように構成されている」ね。松岡正剛さんはラカンの千
夜千冊のなかで、ラカンのいう無意識は、少しわかりにくいかもしれないけ
ど、他者の語らいとしての無意識で、自分の中だけにある無意識ではなくて、他者たちとともにある無意識だと書かれていたね。
うん、ややこしいね。まぁでも、家らはここでラカンやってるから。
ESくん
ラカンやってるって何(笑) あぁ、なるほどね、たしかにやってるかも、
ラカン。
EMちゃん
客観世界は思い通りにならない。でも、それだからこそ、人生は続く(笑) ジジェクがあの格好で資本主義を語っていたの、何か深読みしちゃうわね。変なの。