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ラストキャット(7話)

春の出来事

 桜の蕾みが膨らみ始める頃には、ミミとムーは毎日の様にデートしていて微笑ましい。
 木陰で寄り添ってお昼寝しているのを祥太は窓から見て「ミミ…!」と、笑い泣きして、いつも傍にいるミミがいないのが寂しいが、目の前にいて…、そんな複雑な心境だろう!
 
 そんな様子を見ていた時に父の清彦が倒れて、救急車で病院に運ばれ家族が慌て“バタバタ”しながら、病院へ行った。 
 その日の夜に病院に私が残り、母の栞里と沙羅と祥太が家へ戻り、玄関ドアを開けるとミミが玄関マットの上でお座りして不安と悲しみを合わせた様な顔で「ニャン!」と小さく言いながら出迎えてくれた。
 
 

ニャオマネジャー


 脳血管からの支障が残りながらも、退院して施設入所の待機待ちの期間は想像を遥かに超えて“長寿社会”が身に沁みて、在宅介護を余儀なくされた。
 漢字二文字の“介護”だけれども、食べる事、オムツの交換、お風呂、着替え…と、普通の暮らしが破壊するだけの威力で…!
 そんな時間の流れの中で、絶妙なタイミングでミミがフローリングの床を滑って転んで笑わせて…。
 初夏になり暑くなり“窓の網戸”をして涼んでいると、沙羅が外にミミを見つけて「ミミ〜」と呼んだら、日頃運動神経の悪さ丸出しのミミが窓が開いてると思い込みジャンプしてきたが…、網戸に“ムササビ”の様に両手、両足を全開にしてしがみつき…!
 家族全員爆笑している中、ミミは「助けてくれ〜」と「ニャオ、ニャオ〜」と鳴いたりして……………!
 ミミは在宅介護する私達家族の“ケアマネジャー”をしてくれた…!!


寄り添う命

 蝉が鳴き始めた土曜日の昼下りにリビングと言う程、立派でないリビングのソファーに体調が良さそうなので父の清彦を座らせると、父はどことなく嬉しそうに見えた。
 その膝に“ちょっこん”と乗り「ニャオ、ニャオ、ニャンー!」と、清彦に話しかけるているミミがいて…。
 次の日の夜に父の清彦は他界したけれども、前の日に膝の上でニャオ語で、「辛いのは今日でおしまい…、今日は一緒にいるからね…。」と話していたのか…!?と、私は思い巡らす…。
 
 ケアマネジャーの“ミミ”はその夜、散歩しに外に出掛けに行った。

 行く先は聞かない事にした!

…………………… 続くよ〜……………………

 
 
 

 

 
 

 


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