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ラストキャット(4話)

恋人

 ミミが外に出て遊ぶようになると、可愛いネコがミミとなかよしになった。
 「なかなか隅に置けないね〜」と、沙羅と笑っていた。

 陽だまりの中、小さな庭の小さなデッキの上で寝そべるミミの横に彼女らしき三毛ネコが寄り添う様に…。
 そんな光景を家から眺めながらコーヒーを飲んでいると“他の女性”らしきネコが近づいて来るのが見えたが、少しキツイ感じのする女性だ。
 私と沙羅はどうするのかと窓越しに見ていたら、ミミが唸り追い払った。
 どうやらミミのタイプではないらしく彼はどうやら“優しい系”がお好のみのようで、言われて見ればいつも一緒にいる三毛ネコはどこか愛嬌のある優しい目をしていた。
 窓越しに沙羅が勝手に名前をつけ「隆、ムーちゃんはどうかな?」と言うので私は「いつもトロい感じでいいねー!」と…。

 ある時、ムーが迎えに来てミミが「少し待っていてね〜」とムーに話している。
 それから間もなく“お出掛け”の様な、きっとデートだね!!
人もネコも恋する二人は素敵に輝いて見えるから!
 夕方頃にミミは何か咥えて帰って来て、私は「小さなハンカチ?」と言うと沙羅は「お手拭き…?」と…。
 すると母の栞里が「“よだれ掛け”だね。」
 私と沙羅には子供がおらず、“よだれ掛け"を目にする事が少ないのでそれだとは想わなかった。
 持ち帰ったピンクの“よだれ掛け"と一緒に、僕等夫婦に何かを持ってきたのかも…。


青天の霹靂

 それは僕の仕事終わりの午後5時30分の携帯電話の“バイブ"から始まった。
 電話の相手は“沙羅"で…僕が「どうした?」と呑気に言うと、沙羅が「残業はある?、出来れば早目に戻って!」と何かテンションが上がっている。

 私が家について「ただいま〜!」と帰るなり沙羅が「ちょっと来て!」と…、白い棒の様な物を見せられた。
「真中の赤いライン見えるでしょ。」と沙羅が言うので「そうだね、赤いのあるね〜!」と呑気に言うと…。
 沙羅が「出来たんだよ、子供!」と…、目を潤ませながら微笑んだ。
 結婚して5年目だった私達夫婦には、子供がなかなか出来ず病院に通う事を考え始めていた時だったので私は「おぅっ」と…、沙羅とハイタッチした。

 あの“ピンクのよだれ掛け" !!

………………… 続くよ〜!…………………

 


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