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野球チェコ代表

開幕まであと2か月を切ったWBC。
侍ジャパンは1次ラウンドで韓国、オーストラリア、チェコ、中国と対戦します。
この中で唯一、過去にWBCなど大きな国際大会で対戦したことのない国がチェコ。そんなチェコを掘り下げてみたいと思います。

チェコという国

チェコの位置。ドイツの東側にあります。

人口:約1070万人
面積:北海道よりやや小さい
首都:プラハ
公用語:チェコ語
盛んなスポーツ:サッカーやアイスホッケー

チェコって野球やってるの?

ツイッターでも組み合わせを見て「チェコって野球やってるの?」みたいな意見が多数。そもそも野球ファンの間でも「欧州は野球不毛の地、ただオランダとイタリアは国際大会に出てくる」というのが一般的なイメージでしょう。
確かに日本やドミニカ共和国のように多くの国民が野球に熱狂する国は欧州にはありません。ただ「欧州は野球をやってない」かと言えばそれは違います。

前述のオランダとイタリア以外にも、スペインやドイツなど多くの欧州諸国に野球のリーグがあり日本プロ野球のように大規模ではないですがリーグ戦は行われています。欧州内の国別対抗戦である欧州野球選手権は2年に1度行われ、予選には大半の国が参加し本大会は勝ち抜いた16か国で行われます。
そんな欧州の中でチェコは4~5番目に強い国と言えるでしょう。前述のオランダとイタリアが2強、次いで近年は強化が進むイスラエルや、中南米からの移民が多くいるスペイン、その次あたりに来るのがチェコです。

チェコの野球リーグについて

チェコの国内リーグは1部リーグが10球団、その下に下部リーグがあります。
※欧州の野球リーグは基本的にサッカーと同様、1部2部などリーグが分かれ昇降格があります。

多くのチェコ人選手に加え、アメリカなどから来た外国人選手もいます。今季は2016年に中日でプレーしたハイメ投手がチェコリーグに加わり、最優秀防御率に輝いています。

野球チェコ代表

2023年現在、まだチェコはMLBやNPBで活躍するような選手を輩出できていません。その点ではオランダやイタリアは勿論、同じ欧州でもケプラー(ツインズ)を輩出しているドイツの方が先を行っています。
また欧州の野球代表チームだと、オランダであればカリブ海にあるオランダ領のキュラソー島やアルバ島で野球が盛んで、そちらの島の選手も加わり強いチームが作れます。イタリアであれば国籍が取得しやすい背景からイタリア系のアメリカ人やベネズエラ人が代表チームに加わります。

一方でチェコ代表には海外で活躍するチェコ人も、海外から帰化した強力な選手もおらず、メンバーの大半が国内リーグでプレーするチェコ人の選手です。そう聞くと強くなさそうな気がしますが、、、

実はチェコ代表は2019年の欧州選手権では前述のオランダを倒したり、東京五輪の予選ではユダヤ系アメリカ人の元メジャーリーガーなど擁したイスラエルを倒したり、他の大会でもメジャーリーガーを擁するメキシコをあと一歩まで追い詰めたりしています。
※下記リンクは、チェコがイスラエルを倒した東京五輪予選の動画です。

そして昨年に行われたWBC予選(※)では、フランス、ドイツ、スペインを下しついにWBC初出場を果たしました。
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※WBC予選とは東京ドームで行われる1次ラウンドのことではなく、前年に行われたWBC出場を懸けた戦い。過去大会で好成績の日本は免除なので一般的に知られていませんが、WBCにも予選があります。
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チェコ代表が戦力的に上の相手を苦しめる理由は、大柄な体格を生かした長打力と安定した守備ということころでしょうか。随所での長打で得点し、それを投手リレーと安定した守備で守る、こんな戦い方で目立った選手こそ少ないものの、格上相手に番狂わせを起こす、そんなチームです。
またチェコはWBCこそ初出場ですが、これまで年代別の大会など多くの国際大会へ積極的に出場。代表チームとしての経験値は高いと言えるかもしれません。

チェコの中心選手

マーティン・セルベンカ(プラハ・イーグルス)

マーティン・セルベンカ

チェコ人としては最もメジャーリーガーに近づいた、チェコ代表の正捕手。一昨年までマイナーリーグでプレーし、マイナーリーグで最上位のレベルである3Aまで昇格も、MLBへは昇格ならず。その後はドミニカ共和国のウィンターリーグでもメジャーリーガー等と共にプレーし、チェコ代表で最も世界を知る攻守の要です。
昨年は国内リーグでプレーすると、やはりチェコ内では別格であわや三冠王の活躍。

ヴォイチェフ・メンシク(フロッシ・ブルノ)

以前はアメリカの大学に留学、2021年にはカレッジワールドシリーズ(アメリカの大学ナンバーワンを決める戦い)でも活躍し、その後エンゼルスもの傘下でもプレー。
チェコ代表では強打の1番遊撃手として昨年のWBC予選では攻撃でも守備でも活躍。

マレク・クルップ(ノース・グリーンビル大学/米国)

10代のころからチェコ代表の中心選手として活躍。2019年からアメリカの大学に留学し、現在は強肩強打に俊足も兼ね備えた外野手として、MLBドラフトでの指名を目指しています。
チェコ代表でも主にライトやセンターを守り、昨年のWBC予選でも上記のセルベンカと共に中軸として支えました。

その他、今回のWBCでは元メジャーリーガーでアメリカとチェコの二重国籍であるエリック・ソガードがメンバー入り。彼に関してはMLBでも有名選手だったこともあり、ここでは割愛します。

侍ジャパンはチェコに勝てる?

正直なところ、過去最高という声もある侍ジャパンがチェコに負けることは考えづらい。チェコ代表としても今回のWBCは中国には勝ち、オーストラリアにもワンチャン勝てたらというのが現実的な目標かと思います。
ただ前述の通り格上を苦しめることも多いのがチェコ代表。野球が強いイメージがないチェコ代表に侍ジャパンが苦戦したら、野球ファンの皆さんは侍ジャパンを不安に思うかもしれない。でもそういうときは、チェコ代表はそういうチームだと思い出していただければ幸いです。

そしてチェコ代表にとって、WBCは過去にない大舞台であり、また長年積み上げてきた強化を発揮する場です。予選で勝ちWBC初出場を決めたときはこんな様子でした。

是非とも、チェコ代表には世界の野球ファンにインパクトを残す戦いを見せてほしいです。

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