創作：足りない紫

　胸から取り出した地図を軽く剪定して庭に配置します。
　円盤状の雑音とひな飾りを同象限で眠らせて、分子間力の作用に委ねます。逆さまになった果実はやがて飲み干されると予測でき、ハンマーは少しだけ揺れます。

　岩盤浴に行き、束の間のエーテル体験の後に、ぶっきらぼうなレアチーズケーキをおかわりするのでした。よく焙煎された黒を対置して。

　ビロード戦隊のピンクはブルーに恋焦がれ、最終回の2話前で大博打をうちます。
　結末は、そうですね、削り取られた金属音の減衰によく似た長くて儚い放課後とまるで同じですね。悪の四天王は既に味方陣営にいました。

　自分自身の絶対値を数えます。それは自然数とは別の重みを持っています。
　自分自身に補助線を引きます。それは背理法によく似た非定点観測であり、あるところのものでなくあらぬところのもの、の横顔をちらつかせます。

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　そこまで書いた彼はインクのかすれに気づき、紫色のそれを買いに出かけていった。