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隔離生活日記@モントットーネ⑦ 58日目? 「フェーズ2の始まり記念散歩の巻」

5月4日からいよいよロックダウンの規制緩和が始まりました。こちらではフェーズ2(第2段階、イタリア語だとファーゼ・ドゥエ)と呼ぶ段階の始まりです。今までの完全ロックアウトがフェーズ1、これからがフェーズ2です。

今までと何が変わるって、まあ、いろいろと大事なことが段階的に緩和されていくのですが、とりあえず僕にとって一番大きいのは、またジョギングができるようになった、子どもたちと村の散歩にもサイクリングにも行けるようになった、やろうと思えば、山歩きにも行けるようになった、という点です。今日は特に何を書こうというのもないのですが、せっかくだから散歩に行ってきたのでその時の写真を少し。

とりあえず今、聞いている曲を一曲。トム・ウェイツのアルバム「The Early Years, I」から「Had Me a Girl」です。どうしようもない男の歌なんですが、なんか憎めないこの哀愁はなんなのでしょうね。彼の声はやはり夜がよく似合います。さて、何を飲もうか。

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これは長女のいちばんの友だちの親が趣味で馬を飼っているちょっとした牧場。

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馬。美しい動物ですね。

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休耕地の斜面を登って行きます。奥に見えるのがうちの村の中心部。単にチェントロ centro(英語のcenter、中央)と呼ばれることが多いかな。正式にはチェントロ・ストーリコと呼ばれ、「歴史的中心地区」と訳されたりしますが、この訳語はなんだか硬過ぎて。「昔からの中心部」「本町」「元町」というニュアンスかな。

(2020/05/08追記。Centro storicoの訳語には「歴史的中心地区」より「旧市街」が訳語にはいいかもと思ったので特に記す。というか「歴史地区」が今の定訳か。僕ひとりが遅れていただけかも)

あと主に高い部分を指して、砦、城を意味するカステッロ castelloと呼んだりもしますね。今も結構残っていますが、町のぐるりを城壁が囲んでいて、門を閉めてしまえば、町全体が割と真剣な戦のできるお城になった時代の名残なのでしょう。

「おーい、さっきまでピアッツア(広場)で、ウノ・ドゥエ・トレ・ステッラ(だるまさんころんだ)やって遊んでた、うちの娘とお前んとこの娘、どこいった?」「うん? カステッロ(上)に行ったよ、ナスコンディーノ(隠れんぼ)だって」「仕方ねえなあ、また勝手に行っちまって」なんて会話がよく交わされます。

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幼稚園年長組の次女は、このあいだ欲しいというので切ってやった笹の棒を振り回し、ひとりでがんがん進みます。ワイルドです。

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道端で積んだお花を片手に、即興の歌まで大声で歌って、なんだかとても楽しそうで、おっさんは時々うらやましくなります。

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でも田舎の子って、ふだん都会の子より距離を歩きませんから、割とすぐに疲れてしまうのです。で、「仕方ねえな、子どもが喉が渇いたって言うからさあ」と子どもをだしにしてバールで朝っぱらから自分はビールを飲み、ジュースを飲んで復活した子どもたちは勝手に広場でまた近所の子どもたちと駆けずり回る。。。。というのが休日のゴールデンコースなのですが、当面バールの休業は続きます。

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こう暑い時ゃ、冷えたカンパリでもバールでキュッと行きてえとこだな、えっヤマよ? どうでぇひとつ? ガキも喉が渇いた、ジェラートが食いてえとさっきから騒いでるじゃねえか。。。。

残念。残念ですが、このままうまく感染者の減少が続けば、6月1日にはバールも営業再開します。床屋さんも同日再開予定で伸びっぱなしの髪をようやく切りに行けます。プロフィール写真を昨日、自分で鏡のぞいて撮ってみましたが、これじゃ70年代の学生です。仕方あんめえ、ガロでも歌うか。。。

いいですね。時々、ちいとばかし遅く生まれ過ぎたなと思います。

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イタリアはこれから初夏までが個人的ベストシーズンです。ああ、外を歩けるって素晴らしい。

ご好評いただいております拙訳『コロナの日々の僕ら』は、こちらのリンクからお買い求めいただけると、貧しい翻訳者の懐にエスプレッソコーヒーにして1/2〜1杯分相当のお小遣いが転がりこむようです(既に数名様からご注文をいただきました。本当にありがとうございます! 6月1日からはまたバールにコーヒーを飲みにいけそうです。その時はこのこと村のみんなに自慢します)。

同じパオロ・ジョルダーノの、やはり僕が訳しましたベストセラー小説『素数たちの孤独』はこちらです。この作品についてはまた何か書いてみようかな。イタリア語で読んで、文体に惹かれたのは初めての体験だったかも。

ここ3年ばかりはこちらの大作と取り組んできました。『ナポリの物語』4部作の第1巻『リラとわたし』です。第4巻『失われた女の子』は、2020年度日本翻訳大賞の最終選考に残っています。頑張れ。


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