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『私の死体を探してください。』ドラマ撮影現場見学レポート③

note主催の創作大賞2023において、光文社文芸編集部賞とテレビ東京映像化賞をW受賞し話題を集めた星月渉さんの『私の死体を探してください。』。
7月には応募原稿を大改稿した単行本が刊行され、9月3日からはいよいよ連続ドラマがスタート!その撮影現場に見学に行ってきました♪

ドラマ撮影現場見学レポート③

麻美さんの書斎の机の前にはカメラが移動するためのレールが敷かれました。これが敷かれただけでドラマの撮影感マシマシに思えるのはやはり私がド素人だからでしょうか。

いよいよなのかな? とドキドキしていると山口紗弥加さんはある出来事が笑いのツボに入り、直前まで笑いが止まらないご様子。どうなってしまうの? と思っていたのですが、次の瞬間には泣いていました。

もう、本当にすごいものを見せていただきました。

だって、直前まであんなに笑っていらしたのに、テストで泣いて、本番で泣いて、さらには他のアングルからのカットのテストと本番で泣いて……。

泣くシーンを撮るために一度だけ泣けばいいわけではないんです。この事実は本当に驚愕でした。俳優さんってすごい! と感動で私まで泣きそうになりました。

泣くシーンを含めた数シーンでこの日の山口紗弥加さんの撮影は終了。お帰りになる前に私は自分の台本にサインをいただきたいとお願いしまして、快諾してくださったのでいざサインを! と持参したマッキーを手渡したのですが……。まさかの、まさかの……。

マッキーがつかない!!
昨日の私のバカー!! そこは確かめようよ!! 万年筆にインクを入れた時にやっておくべきだったよ!!

本日二度目の自分のポンコツっぷりに心の中で絶叫していたら、山口紗弥加さんのマネージャーさんが別のマッキーを持ってきてくださったので、無事にサインをいただくことができました。本当にありがとうございました。

続いては正隆がひとりパソコンに向かい原稿を書いているシーンで、田中監督がこの時の正隆がどんな心境でいるのかを伊藤敦史さんに説明しているのがとても印象的でした。セリフがないシーンだからこそ見入ってしまいました。

私は登場人物の表情だけで心情を語るということが、小説ではできないことのひとつではないかなあと常々感じています。

漫画や映像作品は登場人物が浮かべる表情で読んでいる、あるいは、見ているこちらがその心情を想像する奥行きがあるのです。それは表現方法として素晴らしいことだなあと思うんですよね。

小説でももちろん表情を描くこと自体はできるのですが、具体的になりすぎるので、見て読み取り、そこから自分の心でその登場人物の気持ちを悟るような表現にはならないんです。一色から三色くらいでべたっと塗りつぶしてしまうイメージ。おまけにあまり重ねすぎると、どんどん濁っていきます。

けれども実際の感情や表情というものは様々なグラデーションがある上、見ている人によっても感じ方が違うこともあるわけで。そんなことを改めて考えずにはいられませんでした。

次のシーンの合間に伊藤淳史さんが私のほうに来て下さって少しお話しすることができました。脚本が面白く原作も読みますと言っていただけて本当に嬉しかったです。

ドラマ、ぜひとも、沢山の方に期待いっぱいに観ていただきたいと思います。一日見学に行っただけでも素晴らしいものにしていただいたと確信することができました。

ご出演者のみなさま、田中監督、阿部プロデューサー、スタッフのみなさま、ありがとうございました。

そして、光文社のN氏。見学に同行、さらに光文社での撮影立ち会いありがとうございました。出版社のシーンは光文社で撮影しています。そちらにも注目していただけるとより楽しめると思いますのでぜひ!

ドラマ『私の死体を探してください。』はテレビ東京ほかにて9/3(火)深夜24:30より全6話で放送予定です。

以上、『私の死体を探してください。』ドラマ撮影現場見学リポートでした。

〈おわり〉


『私の死体を探してください。』 税込み1,760円
ベストセラー作家・森林麻美がブログで自死をほのめかし「私の死体を探してください。」という文章を残して消息を絶つ。担当編集者の池上は新作原稿と人気シリーズのプロットを手に入れるため麻美を探すが、その後も麻美のブログの更新は続き、さまざまな秘密が次々に暴露されていく。ブログの内容に翻弄されていく関係者たち。果たして麻美の目的は? そして麻美は本当に死んでいるのか?

テレビドラマは9月3日スタート!
テレビ東京・ドラマチューズ!(火曜深夜24:30~25:00)全6話


星月 渉(ほしづき・わたる)
山県津山市出身。兵庫県姫路市在住。
2017年、『三毛猫カフェ トリコロール』で作家デビュー。2019年、『ヴンダーカンマー』で第1回エブリスタ×竹書房最恐小説大賞を受賞。2023年、『私の死体を探してください。』でnote主催の創作大賞2023光文社文芸編集部賞とテレビ東京映像化賞をW受賞した。


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