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【7月新刊発売!】光文社文芸編集部の新刊4作品をご紹介!

2024年7月は4冊の新刊を刊行しました!今回も読み応え抜群!



①『赫夜』澤田瞳子

★あらすじ

《全冊著者直筆サイン入り》
延暦十九年。駿河国司の家人・鷹取は、軍馬を養う官牧で己の境遇を嘆く日々を送っている。ある日、近くの市に出かけていた鷹取は、富士ノ御山から黒煙が噴き上がるのを目撃し、降り注ぐ焼灰にまみれて意識を失う。
一方、近隣の郷人や足柄山の遊女などの避難民を受け入れた牧は、混沌とする。灰に埋もれた郷では盗難騒ぎが起こり、不安、怒り、絶望がはびこるなか、京から坂上田村麻呂による蝦夷征討のための武具作りを命じられる。
地方の不遇に歯噛みする鷹取は――
平安時代、富士山延暦噴火。大災害に遭った人々の苦悩と奮闘の日々を描く、歴史パニック長編。

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

「市場に出回る全冊に、著者直筆サイン入り!」のインパクトで話題の本作ですが、内容もすごいのです。平安時代に実際に起きた富士山の貞観噴火。
駿河国司の家人として都からやってきた主人公が、その災厄に巻き込まれていく姿がリアリティを持って描かれます。混沌とする避難所の人々、灰に埋もれた郷から離れたくない長、帰る場所をなくした遊女や山賊、そして有事に紛れて盗みをはたらく者・・・・・・
極限状態にある人間の姿は、今も昔も変わらないのかもしれません。
物語の後半には、皆さん教科書で習ったことのある「坂上田村麻呂」と「阿弖流為(アテルイ)」の戦いが描かれ、一気に歴史の流れに引き込まれます。
歴史パニック小説ともいうべき、著者の真骨頂をぜひお楽しみください。

担当編集 M.M

『ミステリから見た「二〇二〇年」』千街晶之

★あらすじ

新型コロナのパンデミックによって生活や社会構造が激変した2020年。
この激動の年にミステリという文芸領域がこの時代をどう描き、どう解釈したのか?新型コロナ、東京オリンピック、分断国家、政治腐敗、失われた三十年、ポリティカルコレクトネスと多様性……
2020年以降の日本を象徴する出来事を扱ったミステリを通し観察することで見えてきたこととは?圧倒的な読書量と鋭い分析力を誇る著者が、現代日本の歪みに物申す。

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

新型コロナのパンデミックを経て、時代が大きく変容した二〇二〇年を数多くのミステリ作品を通じて論じる評論集。著者はまえがきで「私は一介のミステリ評論家でしかないので、二〇二〇年に始まった社会の変化を巨視的に捉える眼は持たない」と謙遜していますが、ミステリを通じて現代日本の実像を鋭く多角的に批評する姿勢はフェアで圧巻! まさに”戦う評論家”という呼び名が相応しい方です。

担当編集  D.N

③『私の死体を探してください』星月 渉

★あらすじ

note創作大賞W受賞でドラマ化決定のノンストップスリラー。
ベストセラー作家・森林麻美がブログで自死をほのめかし「私の死体を探してください」という文章を残して消息を絶つ。担当編集者の池上は新作原稿を手に入れるため麻美を探すが、その後も作家のブログは更新を続け、様々な秘密が次々に暴露されていく。衝撃的なブログの内容に翻弄されていく関係者たち。
果たして麻美の目的は?
そして麻美は本当に死んでいるのか?

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

昨年のnote創作大賞。光文社文芸編集部賞を決める社内選考会にて、一瞬で受賞が決まった圧倒的に面白いエンタメ作品です。とにかく展開が早くて、次は何が起こるんだろうとどんどん先を読まされてしまう感覚。クズとしかいいようがないのに妙に愛着が湧いてしまうキャラクター。それらは映像的にも魅力に映ったようでテレビ東京映像化賞もW受賞することになります(9月3日より、テレビ東京ドラマチューズ!で連ドラ放送決定)。単行本化にあたり、作品のキモとなる作中作を大きく改稿しています。それにより登場人物たちの心情がより深く描かれ、物語全体の読みごたえも大幅にアップしましたので、noteで読んでいたという方も、ぜひもう一度新しい気持ちで楽しんでもらえればと思います。

担当編集  D.N

④『蛇影の館』松城 明

★あらすじ

人間の身体と記憶を乗っ取る人工生命体〈蛇〉は、“衣裳替え”を繰り返し悠久の時を生きてきた。
あるとき、最年少の〈蛇〉で女子高生に寄生する伍ノは、一族の長から満月の集いのための新しい衣装候補の調達を頼まれる。同級生を騙し廃墟の中の伝説の館に卒業旅行に行く伍ノ。そこで起こる惨劇。誰が人間で、誰が〈蛇〉なのか?
〈蛇〉独特のルールを利用した驚愕トリックと圧巻ロジックは「特殊設定ミステリ」の新たな極北に!

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

約2年前に初めて、本作の原型となる作品を拝読したときの驚きはきっと一生忘れないでしょう。それは著者が学生時代に書いたまま眠っていた作品で(実は某新人賞の落選作でした)、たまたま私が発掘できる機会に恵まれたことに震えが止まりませんでした。どこから生まれたのか想像もつかないような奇抜な設定と、本格ミステリとして圧倒的な強度を持つトリックや仕掛け。松城さんのデビュー作とはまったくテイストが違いますが、すごいものを読んだというのが第一印象でした。ただし、その作品はいろいろと要素が詰め込まれすぎていてメインがなんだかよくわからない話でもありました。そこから二人で話し合いを重ねて、特殊設定本格ミステリとしての要素だけを残し、それ以外の夾雑物を排してできるだけシンプルにしたのが、この『蛇影の館』です。おそらく驚きの連続になるであろう、怒涛の解決編がとにかく気持ちいい傑作。できるだけ多くのミステリファンの方々が読んでくれることを願います。

担当編集  D.N

【7月新刊発売中!】

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