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"寛容さ”は最大の武器

ライターなら、みんなぶつかる壁だと思う。

「苦労して書いた文章。なのに、クライアントからOKがでない。その理由も納得いかない。最悪の場合、クライアントが何を言ってるか全然わからない」

これ。僕も度々ある。

この現象の根本的な原因は、
「日本人はほぼ100%、文章の読み書きができる」
ということにあると思う。

つまりクライアントが、「自分ならもっと上手く書ける」と思っているケースだ。


以前にも一度話したが、執筆は誰でもできる。でも、「プロ」と「アマチュア」というものがある。

草野球とプロ野球は、同じ競技でもレベルが違う。求められる成果が違う。必死さが違う。知識も違う。


ライティングだって、そうだ。


僕らライターは、「どうせ隅々まで読まない」「自分が言いたいことより、相手が知りたいことを書く」という大前提のもとに、「なんっ…とか読んでもらう」ために試行錯誤しながら執筆している。


この2つの前提は、実にシンプルなものだが、これこそプロとアマを分ける決定的な差だと僕は思う。


しかし、クライアントはそれを理解できない。

結果、アマチュアの感覚で、しょーもない修正を指示してきたりする。


こういうとき、2つ考えなければいけない。

1つは、自分自身のライティングに隙がないかを考え直すこと

クライアントということを一旦置いておいて、一読者の感想と考える。

「わかりにくい」のではないか?「伝わっていない」のではないか?を素直に省みることは欠かせない。


もう1つは、それがクライアントの驕りではないか?と考えること。

アマの感覚で、プロの文章にダメ出ししているのではないか?と疑うことだ。


僕の経験上、集客に疎いクライアントは「自分が言いたいこと」ばかり言う。

でも、顧客はそんなのどうでもいい。

顧客が興味を持っているのは「自分にとってどう有益か?」だけだ。


ライティングをわかっていない人は、それがわからない。

結果、自分が言いたいことを一方的にしゃべくり倒す、刺さらない記事ができあがる…

こうなるとクライアントは満足な結果を得られないし、ライターも「失敗した奴」という評価を受ける。

誰も得しないんだよなぁ…


残念だが、こんなことが日本中で起きていると思う…


でも、防ぐのは簡単である。

クライアントが「プロにお任せ」という姿勢でいればいいのだ。


クライアントが自分の感覚(アマ)で「ん?」と思っても、逐一修正指示しない。

「何か理由があってのことだろう」と一回受け入れる。

そのうえで「なぜこういう表現にしたの?」と質問してみる。


これで上手くいくはずだ。
ちゃんとしたライターなら、ちゃんと理由が言えるものだ(適当に文字を埋めているライターは答えられないかもしれない。その時は、ライターが悪い)。


「こんな表現じゃダメだよ!」といきなり憤慨するクライアントもいる。

こういう人は結局、「自分の枠を超えられない人」である。


人間一人ができることには限界がある。

別に僕は、文章にとんちかんなダメ出しをする人が嫌いではない。

プロの領域で仕事をしていれば、アマにはわからないこともある。

しかし、顔を真っ赤にして修正指示を出してくるクライアントと冷静に尋ねてくれるクライントでは、何事においても結果が違ってくると思うのだ。


落ち着いて質問できるクライアントはきっと伸びると思う。

自分にできることを弁えて、様々な才能を持つ人間を上手く使えるからだ。


でも憤慨するクライアントは、おそらく万事、自分の感性で物事を判断していると思う。

そうして、お金を払ってプロに依頼したにも関わらず、記事の魅力を削ぎ落して削ぎ落して校了するんだろう。



クライントのことばかり言っていられない。

私たちは誰かに何かを頼むとき、彼の意思も尊重しなければ、お願いする意味がない。


人間一人ができることには限界がある。

だから一番強いのは、誰かを信頼して任せられる"寛容さ”を持つ人なんじゃないだろうか。





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