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【過去作品】ひだまりをさがす/作品によせて


秋のおはなし「お茶碗」と「パレット」という作品をつくりました。
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秋を一日ずつ過ごしながら、ゆっくりとこの二つのお話を書きました。この広い世界のどこかにぽつんと存在し、そして、たまたま出会った人たちのことを。
秋のおいしさや彩りは素晴らしいものですが、一方で全てが枯れ、色をなくし、凍てつく冬へ向かう時間でもあります。

この世に生まれた私たちは、いつかは必ず、ひとり残らず、この世からいなくなってしまいます。
この国で現代を生きる私たちは、時に栗ごはんを食べ、時にゴッホの展覧会へ行くことができます。お箸を取り出すときや、チケット売り場の列に並ぶとき、何を考えているでしょうか。

「いつかいなくなってしまう」ということが、幼い頃から何をしていても背中に張り付いているような感覚があります。それは恐怖として襲ってくることもあれば、淡々とした表情で、心の芯のようなものになってくれることもあります。
人間がつくりだした多くのもので満たされた世界で、迷子になっているような人たち。ややもすると、溺れてしまいそうな人たち。だけどこのわけのわからない世界を、目をそらさないで見つめる人たち。たたかい続けている人たち。そんな人たちを書こうと思いました。
このお話が、誰かの励みになるかは分りませんが、ちいさくも決して消えない光として、ほんのすこし指先を温めることが出来たらいいな、と思っています。どうかみなさん、お風邪には気をつけて。おげんきで。

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