【詩】長田弘さんに捧げる詩
詩人、作家の長田弘(おさだ ひろし)さんの本は以前から好きでした。この12月にはエッセイ集を2冊読み、これもよかったです。
その話はラジオでしています。
このあと「年内に、長田弘さんに捧げる詩を詠みたい」と思っていました。ちなみに長田さんは2015年に亡くなっています。
こんな詩になりました。
長田弘さんに捧げる詩
今日もひとつ言葉の木を植えよう
苗木でも、まだ若木でも
詩でも、またエッセイでも
木はいつか本になるでしょう
あなたは「旅する図書室」のようで
たくさんの本を引き合いに出しながら
あちこちの土地をめぐって
お話を聞かせてくれます
私は歩きました
あなたの雑木林を
そよ風と日の光を浴びて
その穏やかさのなかで、ふと気がつきます
あなたの森の奥深くに
冷たい石の棺桶があるかもしれないことに
いったい何が亡くなったのでしょう
あなたとあなたが住むこの地球のために
あなたは埋葬し、沈黙しました
雑木林は今日も静かで
静けさと光に満ちています
この土地に出会えてよかった
ゆっくりと焦ることなく歩き続けて
あなたは自分の庭をみつけました
あなたの庭園は
今も本棚のなかにあります
吟遊詩人K.
長田さんの詩は理知的で優しく、木のような伸びやかさと静けさがあります。そして、大きな思想を感じさせます。一方で、その肯定的な世界はなにか、言葉にされない死を抱えているようにも私には思えるのでした。
長田さんからいただいた言葉の木は、これからも私の心のなかでじっくりと育っていくのだと思います。
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